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井波律子・評 『顔真卿伝 時事はただ天のみぞ知る』=吉川忠夫・著

 (法藏館・2484円)

まさに「書は人なり」を体現

 中国の書の歴史上、東晋の王羲之(おうぎし)(三〇七-三六五)と並び称される大書家、唐の顔真卿(がんしんけい)(七〇九-七八五)の全体像を描く本格的伝記である。本書は全八章から成り、まず第一章から第三章において、そのルーツと前半生がたどられる。魏晋南北朝以来の貴族である顔氏一族は代々、学問を重視し、『顔氏家訓』を著した顔之推(がんしすい)(五三一-五九一)は、顔真卿の五代先の祖先に当たる。学問重視の家風は連綿とつづき、唐代以降は書も重視され、能書家が続出した。さらに、顔氏一族にはおりおりに命がけで節義を重んじる剛直な人々が出現した。顔真卿はこうした家風を受け継ぎ、乱世を毅然(きぜん)と生きぬいたのだった。

 しかし、輝かしい伝統をもつとはいえ、顔氏一族は経済的には恵まれず、官僚社会で活躍した人物もいなかった。そこで、顔真卿は科挙に挑戦し二十六歳で合格、官界入りを果たし、中央官として順調に昇進を重ねた。しかし、順風満帆とはゆかず、玄宗皇帝の寵姫(ちょうき)、楊貴妃の従兄で、陰険な楊国忠が宰相となって権力をにぎると、硬骨漢の顔真卿は憎まれて地方に転出させられ、天宝十二年(七五三)、四十五歳のときに平原(…

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