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社説

期限先送りの米中交渉 不毛な応酬の早期終結を

 世界経済を混乱させる米中の不毛な応酬は早く終わらせるべきだ。

     トランプ米大統領は、中国との貿易交渉を巡り、来月1日の交渉期限を延期し、制裁関税の強化も先送りすると表明した。中国が米国産農産物の大量購入を約束したことなどを踏まえて判断したようだ。来月にも習近平国家主席との会談を行い、決着を目指す考えも示した。

     現実的な判断と言えよう。決裂すると、米中のみならず世界経済が大きく動揺する恐れがあった。

     米中はともに昨年来の貿易戦争で痛手を被った。中国は昨年の経済成長率が28年ぶりの低水準にとどまった。米国の大企業も巨大な中国市場での販売不振で業績が悪化した。

     米中両大国の景気停滞は世界に波及する。世界的な株価急落が繰り返し起こった。日本企業も利益が落ち込むケースが相次いだ。株価は最近落ち着きを取り戻しているが、決裂すれば再び大荒れになりかねなかった。それは米中にも打撃となる。

     今後の焦点は、首脳会談で決着が図れるかどうかだ。貿易不均衡の是正にとどまらず、中国の経済構造に根ざす問題がかぎを握る。

     米国は、中国政府がハイテク産業育成のため補助金を過剰につぎ込むなど不当に優遇していると主張してきた。一方、中国は受け入れられないとの姿勢を示してきた。産業政策の根幹にかかわるためだ。

     ただ、この問題は、日欧も国際ルールに違反すると批判してきた。中国は大国としてルールを守る責任がある。知的財産権の侵害問題も含め、踏み込んだ改革が必要だ。

     米国も自制すべきだ。中国が問題改善を約束しても、その後に違反が分かれば米国が制裁を科せる仕組みの導入を迫っている。制裁で脅す手法は国際ルール違反である。

     対立の根底には、ハイテクを巡る米中の覇権争いがある。安全保障にも直結するため、米国は強硬な姿勢で臨んでいる。中国の通信機器大手ファーウェイ製品の排除を各国に促しているのは象徴的な動きだ。

     だが、米中の覇権争いに世界が振り回される状況は困る。貿易戦争が消耗戦に終わるだけなのは既に明らかだ。米中は世界経済の安定に責任を負う。それを自覚し、国際ルールに基づく解決を図るべきだ。

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