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米朝会談ホストのベトナム、トランプ氏に「恩」を売る 米ボーイング社航空機100機購入契約も

会談で握手を交わすトランプ米大統領(左)とベトナムのグエン・フー・チョン共産党書記長。後ろは「ベトナム建国の父」ホー・チ・ミンの像=ハノイで27日、AP

 【ハノイ西脇真一】ベトナムの首都ハノイで27日、トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長による米朝首脳会談に合わせ、トランプ氏とグエン・フー・チョン共産党書記長兼国家主席の米ベトナム首脳会談も開かれた。南シナ海で中国と領有権争いを抱えるベトナムは、今回の米朝首脳会談を米国との関係を強化する絶好の機会として最大限に活用している。

 会談後、米ベトナムの両首脳が見守る前で、米ボーイング社は航空機100機をベトナムの航空会社に売却する総額約127億ドル(約1兆4000億円)の契約を結んだ。ロイター通信によると、トランプ氏はこうした契約についてベトナム側に感謝の意を表したという。

 ベトナム戦争を戦った米国とは1995年に国交を正常化させたが、その関係はまだ初期段階だとされており、ベトナムには米国との信頼関係をさらに発展させたい意向がある。そのため米朝首脳会談の場所を提供することで便宜を図るだけでなく、ビジネスでもトランプ氏に恩を売った格好だ。

 対米関係構築を急ぐ背景には中国の存在がある。南シナ海では、74年に西沙諸島で武力衝突が起き、88年には南沙諸島でも衝突、いずれも中国に実効支配された。ベトナム国民の対中警戒感は強く、中国をけん制するため、ベトナムにとっては米国のプレゼンスが不可欠なためだ。

 一方、グエン・スアン・フック・ベトナム首相との会談でトランプ氏は「ベトナムは北朝鮮の将来の繁栄のモデルになる」とも語った。75年のベトナム戦争終結後、ベトナムは南北統一を果たしたが、急速な社会主義化や国際的孤立などから経済は停滞した。危機的状況を打破するために86年の共産党大会で資本主義、市場経済を取り入れる「ドイモイ(刷新)」政策が採択された。成果は89年ごろから出始め、97年のアジア通貨・金融危機で成長は一時鈍化したものの、2010年には「中所得国」入りを果たした。

 ベトナムメディアによると、米朝首脳会談には3000人を超える記者が取材登録した。18年の国内総生産(GDP)成長率7%という東南アジアでトップクラスの経済成長を続ける発展ぶりを、この機会に外国メディアが発信するメリットも大きい。

 外交関係者によると、ベトナムは以前から北朝鮮に対し「ドイモイをやらないか。やるなら経験を伝える」と誘ってきたという。実際、北朝鮮側も27日付の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」(電子版)が「経済発展に力を入れるベトナム」との記事を掲載。「農業への投資を増やし、穀物の生産量を高めて、世界的な米輸出国になっている」などと伝え、ベトナムの経験を学ぶ姿勢を見せている。ただ、ベトナムは独裁ではなく集団指導体制を取るなど「自由度」の違いは大きく、北朝鮮は簡単に参考にはできないとの見方もある。 

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