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平成の事件ジャーナリズム史

元社会部長の小川一が個人的体験を交えながら「平成の事件ジャーナリズム史」を振り返ります。

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(7)ロス疑惑報道が残したもの

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三浦氏の逆転無罪を伝える紙面
三浦氏の逆転無罪を伝える紙面

 いわゆる「ロス疑惑」の始まりは、1984(昭和59)年の週刊文春の報道にさかのぼります。公人でもなく、権力を持っていたわけでもなく、刑事訴追されてもいない一人の市民を、週刊誌が殺人事件の容疑者として実名で告発する異例の報道でした。週刊文春のキャンペーンのタイトルが「疑惑の銃弾」であったことから、「ロス疑惑」は「疑惑の銃弾」事件とも呼ばれます。テレビのワイドショーや他の週刊誌、スポーツ紙などが追随し、三浦和義氏の疑惑をめぐって激しい取材合戦が起きました。警視庁も捜査に着手し、85(昭和60)年9月、三浦氏は、妻の一美さんが殴打された事件で殺人未遂などの容疑で逮捕され、有罪判決を受けます。そして、88(昭和63)年10月には、一美さんが銃撃を受けて殺害された事件で殺人などの容疑で再逮捕されました。

 捜査は昭和の時代で一応の区切りを迎えましたが、裁判は平成に入っても続きます。そして「ロス疑惑」が真の意味で事件ジャーナリズム史に刻まれるのは、平成に入ってからのことです。三浦氏は1審で無期懲役の有罪判決を受けますが、2審で逆転無罪、最高裁も無罪判決を支持し、無罪が確定しました。2003(平成15)年3月のことでした。

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