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社説

統計不正の原因は 政府が解明を阻んでいる

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 そもそも政府は統計不正問題を解明し、体制を改革する気があるのだろうか。そんな疑問が募る。

 厚生労働省の特別監察委員会はきのう、毎月勤労統計の不正調査問題に関する再調査結果を公表した。しかし組織的にも職員個人としても隠蔽(いんぺい)の意図は認められないと結論づけるなど、先月の調査とほとんど変わらない内容だった。

 それ以上に看過できないのは政府の統計を統括する総務省が、非常勤の学者である西村清彦統計委員長は多忙のため国会審議に協力できない意向だとの文書を勝手に作り、与野党に提示していたことだ。

 西村氏は昨年12月、毎月勤労統計の不正を指摘し、一連の問題が発覚するきっかけを作った。

 今回の文書に対し、西村氏は「そのような文書提出を指示していない」と否定し、石田真敏総務相も謝罪したが、厚労省だけでなく、総務省もこれ以上の国会追及を避けたかったのではないかと見られても仕方がない。なぜ官僚側が独走したのか。その検証も必要だ。

 統計不正問題の焦点は現在、中規模事業所の調査方法が変更されたことに首相官邸の意向が影響していたかどうかに移っている。

 サンプルとなる事業所を毎年一部入れ替える方式に変えたことで賃金の伸び率は上ぶれした。このため野党側はアベノミクスの成果をアピールするために恣意(しい)的に操作したのではないかと指摘している。

 この方式に関し監察委の報告は「統計学的にも十分な合理性がある」などと記すだけだった。経緯については担当者の説明を採用しているに過ぎず、十分な調査とは言えない。

 一連の問題で安倍晋三首相は「私が指示したわけではない」「私が関与していないのは明らかだ」との国会答弁を繰り返している。もっぱら行政側の責任だと言いたいようだ。

 仮に首相の直接関与がなかったとしても政策の土台である統計データがなぜ、これほど不透明な取り扱いをされてきたのか。全容の解明は首相ら政治の責任であり、それがなければ今後の対策も取れない。

 これではいくら監察委が「組織としての認識の甘さ、ガバナンスの欠如などを強く非難する」と報告書に記しても言葉だけに終わるだろう。

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