メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

読んであげて

不思議なストップウオッチ/1

不思議なストップウオッチ 1

 <広げよう おはなしの輪>

    ぶん 西田俊也(にしだ・としや)  やまだないと

     大人おとなたちは、どものあたまをなでては、おおきくなったねえ、とうれしそうにいう。

     あれはちょっとイヤなんだ。小学しょうがくねん洋太ようたはいつもそうおもう。

     あたまをなでられるのはいいんだけど、おおきくなったねー、がこまるんだ。

     だって、ちっともおおきくなってない、やめてよ、そういうのは、とこころなかでブツブツおもう。

     小学校しょうがっこう入学にゅうがくしたとき、洋太ようたじゅんは、クラスで2ばんだった。そして2ねんせいになったいまも、あいかわらず、2ばんのまま。どこが、いったいおおきいのだろう。

     3ねんになれば、はじめてのクラスがえがある。自分じぶんよりひくい、一番いちばんまえ野川のがわくんと、クラスがべつべつになってしまったらどうしようか。

     3学期がっき始業式しぎょうしきのときのことだ。体育館たいいくかんで、洋太ようたまえつ、野川のがわくんのあたまのつむじの位置いちが、きょねんとはちがっていた。2学期がっき終業式しゅうぎょうしきよりも、洋太ようたちかづいていた。

     このままでは、ぬかされる。洋太ようたは、むねがドキドキするほど、不安ふあんになった。

     そのとおり、3学期がっき最初さいしょ身体しんたい測定そくていでは、野川のがわくんのは、2センチもびていた。

    「はい、つぎ浮島うきしまくん」保健室ほけんしつ先生せんせいばれて、洋太ようた身長しんちょうけいうえった。

     よかった。野川のがわくんよりも、1・5センチも、まだたかい。

     野川のがわくんは、まだ・チビだ。

     むねをなでおろし、体重計たいじゅうけいへといそいだ。

    「あ、浮島うきしまくん、もう一度いちど、おねがいね」

    「え、ズルなんてしてない」

     洋太ようた不満ふまんそうにいい、身長しんちょうけいにもう一度いちど背中せなかをつけた。先生せんせいはバーをろしたあと、くびをかしげた。

    「えっ、どうかしましたか?」

    「あのね……」

     洋太ようた身長しんちょうは2学期がっきにはかったときと、まったくおなじなのだと先生せんせいはいった。

     野川のがわくんのことばかりかんがえていたから、すっかりがつかなかった。そして体重たいじゅうも、2学期がっきと、わらなかった。

    「ん、まあ、そういうこともあるかな」

     先生せんせいはなにごともなかったようにいった。

     でもクラスで、身長しんちょう体重たいじゅうも、ふえも、へりもしなかったのは、洋太ようたひとりだけだった。


     ニュースサイトでも読めます

     https://mainichi.jp/yonde/

    おすすめ記事

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 「絶対に稼ぐ」「だらけるな、痩せろ」タイ拠点の振り込め詐欺 逮捕された日本人男15人の「奴隷生活」
    2. 大津園児死傷事故 逮捕当日釈放の62歳女性書類送検
    3. 遺体 海上に乳児 母親か、近くに女性遺体も 青森 /青森
    4. 「丸山氏早く辞め病院へ」松井一郎大阪市長 「完全に一線越えている。社会人として失格」
    5. 自民党・石破茂さんインタビュー 「冷や飯」の味を語る

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです