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はしかの感染拡大 情報開示の統一ルールを

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 はしか(麻疹)の流行が拡大し、全国で患者が200人を超え過去10年で最多ペースになっている。

 今年に入って、三重県で開かれた研修会の参加者に集団発生したほか、大阪市の商業施設を舞台に従業員や客に感染が広がった。麻疹の感染力はインフルエンザの10倍と言われるほど高い。免疫のない集団に1人の発症者がいれば14人ぐらいが感染するという。

 麻疹は重い肺炎などを発症する場合があり、妊娠中にかかると流産や早産の可能性がある。死亡する割合は先進国でも1000人に1人といわれる。甘く見てはいけない。

 世界保健機関(WHO)は2015年に日本の麻疹の撲滅を認定した。しかしそれ以降も、局地的な集団感染がたびたび起きている。

 今年はラグビー・ワールドカップ、来年は東京オリンピック・パラリンピックと国際的なイベントが続く。感染拡大は、大きなマイナスイメージとなる懸念もある。

 院内感染を防ぐため、麻疹の疑いがあればまず電話で相談するよう、医療機関は呼びかけている。診察にあたっては、他地域の感染情報や行動経路などの情報が欠かせない。

 しかし、患者情報の公表は自治体ごとにバラつきがある。岐阜県や名古屋市は患者の利用交通機関や時間帯などを公表した。一方、大阪府の場合、大まかな感染地域や感染者の年代の公表にとどめていた。

 自治体は個人情報への配慮もありどこまでを公表していいか戸惑いがある。国は全国統一の公表基準を作成する必要がある。

 手洗いやうがいで予防できず、ワクチン接種が唯一の予防手段だ。未就学児を対象に2回の定期接種が始まった06年度より前は、定期接種1回かその機会がなかった。

 20~40歳代には免疫が不十分な人が多いと見られる。流行している国に渡航する人は特にワクチン接種を心掛けてほしい。ほとんどの自治体では現在、ワクチン接種の助成制度がない。接種費用の助成も含めた予防対策を検討すべきではないか。

 土着のウイルスは撲滅したとみられ、現在の流行は海外から持ち込まれた可能性が高い。いつどこで集団感染が起こってもおかしくない。予防と水際対策に万全を期したい。

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