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社説

ゴーン前会長の保釈決定 長期勾留を是正する機に

 日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告について、東京地裁が保釈を認める決定をした。

     会社法違反(特別背任)などの罪で起訴されたゴーン前会長の勾留は100日を超えた。東京地検は不服として準抗告したが、地裁は退けた。起訴内容に照らせば、これ以上の勾留の必要性は認められない。

     ゴーン前会長は、一貫して無罪を主張してきた。そうした場合、「証拠隠滅の恐れがある」とみなされ、検察側と被告側が争点を絞り込む公判前整理手続きで論点が明らかになるまで、起訴後も保釈が認められない運用が通例だ。

     この手続きが始まる前の今回の保釈決定は異例といえる。地裁は、弁護人の提案を取り入れ、住居に監視カメラを設置することなどを保釈の条件に加えた。条件を守らせれば証拠隠滅の可能性が低いと判断したとみられる。被告の人権に対する意識が欧米などでは日本以上に高い中、海外で長期勾留が批判されていることも考慮したのだろう。

     ゴーン前会長の勾留が長期化したことで、日本の刑事司法制度がクローズアップされた。

     刑事訴訟法は、被告に「証拠隠滅すると疑うに足りる相当な理由」があれば保釈は認めないと定める。

     検察側は、ゴーン前会長が日産関係者に影響力を行使し証拠隠滅を図る可能性があることなどを理由に保釈に反対してきた。裁判所は、こうした主張を受け入れ、弁護側の保釈請求を2回退けていた。

     ただし、事件に関しては、日産の執行役員ら社員2人が司法取引に応じ、ゴーン前会長側の罪状を裏付ける証言をしている。ゴーン前会長が改めて証拠隠滅工作をする余地はもともと小さい。起訴後勾留が2カ月近くに及ぶ。やはり保釈が遅かったのではとの疑問が残る。

     逮捕や勾留などの身体拘束は、精神的・肉体的な苦痛を伴う。失職など社会生活上の不利益を招く場合もある。証拠隠滅や逃亡の恐れが現実的に想定されるやむを得ない場合に限定するのが原則だ。

     最近では、裁判所が保釈の可否について検察の言い分をうのみにせず、厳しく審査する傾向もみられる。原則に立ち戻った運用を検察や裁判所には求めたい。

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