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社説

中国全人代開幕 対米配慮が目立った報告

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 中国の全国人民代表大会(全人代=国会)が開幕した。米中貿易摩擦で中国経済の先行きが不透明になる中、李克強首相の政府活動報告には危機意識や対米配慮が目立った。

 今年の経済成長率目標も中国の経済減速を反映して28年ぶりの低い水準だった昨年実績(6・6%)を下回る6~6・5%に設定された。現実を直視し、米国との衝突を回避することが今後の発展のカギだ。

 李首相は報告で、米国を刺激することを避けた。人工知能(AI)などの研究開発強化を訴える一方、米国が嫌う産業政策「中国製造2025」には触れなかった。米国の批判に応じ、知的財産権を侵害した場合の懲罰的賠償制度の整備も表明した。そのための「外商投資法」は今回の全人代で成立する見通しだ。

 李首相は「わが国が直面する課題と試練を冷静に認識しなければならない」とも指摘し、米中貿易摩擦が中国経済に悪影響を与えていることを認めた。李首相は積極財政や企業減税で景気を下支えする方針を強調したが、米中対立の緩和も不可欠だと考えているのだろう。

 全人代後には習近平国家主席が訪米し、トランプ米大統領と米中貿易摩擦の解消に向けた合意を目指すと見られている。そのための環境整備の狙いも色濃い。

 ただ、米国や周辺国の警戒は経済にとどまらない。昨年の全人代で習氏の任期を撤廃するなど権威主義的体制を強化したことで「中国異質論」が広まったことも自覚すべきだ。

 李首相は多国間主義と国連を中核とする国際秩序擁護にも言及した。しかし、今年の国防予算は日本の防衛予算の4倍近い約20兆円だ。際限なく見える軍事力拡大に歯止めをかけなければ、信頼は得られまい。

 報告では安定を意味する「穏」の字が昨年より大幅に増えた。6月の天安門事件30年などを控え、国内安定が最優先というわけだ。しかし、安定のために統制を強化するのでは人権抑圧にもつながりかねない。それでは異質論が強まるだけだ。

 中国は平和な周辺環境の下で経済発展に専念し、世界第2位の経済大国の座をつかんだ。さらなる発展にも安定した国際関係が必要なはずだ。「強国路線」を修正し、「国際協調」に立ち戻る時ではないか。

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