作家、古井由吉さん(81)の新作『この道』(講談社)は、八つの短編の集成という、近年の作品に共通する形を取っている。現実と非現実、過去と現在を往還し、奥行きの深い言葉を響かせる作風は揺るぎないが、今回の作品では物語としての明確な筋がほぼ姿を消した。身辺の描写から過去の記憶へ、あるいは読んできた古典文学へと、作為的な転換を感じさせることなく自然に、次々と話題が移ろっていく。
「心境小説になってもいい、というぐらいの気持ちで、なるべく具体(的な事象)に付くようにしました。今の自分の心身に付く。すると年寄りですから季節や天候に影響を受けやすい。それに連れて思い出されることを順次、出てきたところから構わず書いていく。そういう勝手を自分に許しました」
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