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号外強制不妊救済法が成立
社説

親による体罰の禁止 懲戒権の廃止を速やかに

 親が子どもに行う体罰が法律で禁止される見通しになった。

     政府は「児童のしつけに際して体罰を加えてはならない」などと明記する児童福祉法と児童虐待防止法の改正案を今国会に提出することを決めた。東京都目黒区や千葉県野田市で起きた女児の死亡事件で、「しつけ」名目で虐待が行われていたことがきっかけだ。

     体罰禁止を法制化するためには、民法で認められている「懲戒権」を見直す必要がある。このため改正案には、改正法施行後5年をめどに検討し、必要な措置を講ずるということも盛り込まれる予定だ。

     ただ、「改正法施行後5年」では悠長すぎる。これまでも懲戒権の見直しは児童福祉法改正の際に議論されたが、見送られてきた。親の権利を広く認める伝統的な価値観を持つ人も多いためだ。悲惨な虐待事件は続発しており、これ以上先送りすることはできない。速やかに懲戒権廃止の手続きを始めるべきである。

     懲戒権は親権者が子どもの非行を正すため、身体や精神に苦痛を加えて懲らしめることができるとして明治民法に規定された。

     現在は、教育を目的に必要な範囲でのみ認められるとされ、乱用すると家庭裁判所から親権の停止や喪失の宣言がされる。ただ、どこまでを必要な範囲とするか、教育と暴力の線引きをどうするかは、それぞれの主観によって異なる。そうしたあいまいさが体罰を容認する温床となり、児童相談所が虐待を調査する際には「壁」となってきた。

     子どもの教育やしつけは本質的に懲罰とは異なる。時代遅れの規定を民法から削除するのは当然である。

     激しい体罰や暴言を受けると感情や思考をつかさどる脳の部分に萎縮が見られたり、聴覚に障害を生じたりすることが、複数の医学的調査でわかっている。死亡には至らないケースでも多くの子どもが体罰や虐待の後遺症に苦しんでいる実態を重く受け止めるべきだ。

     現在、体罰を法律で禁止する国は50カ国以上ある。日本政府は国連から何度も体罰禁止の法制化を勧告されてきた。

     今回の法改正を契機に、子どもへの体罰や虐待を社会から一掃しなければならない。

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