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つながり紡いで

国際交流協会ネットワークおおさか 外国人の視点と参加を=岩城あすか /大阪

フォーラム「今、あらためて多文化共生を問い直す」に集まった参加者ら。筆者は後列左から4人目=大阪府豊中市で2019年2月8日

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 「日本語の分かる人は前に来てください」。昨年6月19日夜、120人近い外国人が避難していた大阪府箕面市の豊川南小学校体育館。箕面市国際交流協会の同僚の呼びかけに40人ほどが集まった。言語グループごとに最も日本語のできる人が通訳リーダーとなり、中国語やタイ語など6言語8人が避難所の説明を次々と訳した。

 大阪北部地震では、箕面市でも初めて震度6弱を観測。大きな余震があった発災当日の18日深夜、不安にかられた留学生らが多数避難した。トイレの掃除や宗教上の配慮など、ボランティアで避難所に詰めている地域の人たちと緊張感が高まる場面もあったが、2日目からは意思疎通が円滑になり、140人が同じ体育館に臨泊したものの大きなトラブルはなかった。「避難所のスタッフはみな市役所の人だと思っていたがボランティアだと知って驚いた」「日本語が話せる人がこんなにいたとは」。避難所が閉じる頃には、国籍を超えて不思議な連帯感が生まれていた。

 東日本大震災以来、さまざまな形で東北地方から学んだことが、今回の地震で生かされた。こうした経験の蓄積は、大阪府内の六つの国際交流協会や四つの行政の国際担当部局などで組織される「国際交流協会ネットワークおおさか」の広域連携の取り組みから得たものだ。ネットワークの始まりは2002年。国際交流協会の役割が、バブル期以前の国際交流や国際協力から、多文化共生や外国人の人権尊重へと移りつつあった時期にあたる。

 東日本大震災では「東北地方太平洋沖地震多言語支援センター」のホームページに載った多言語災害情報のうち、中国語の翻訳をネットワークが引き受けた。発生直後の11年3月14日から46日間、毎日夕方に送られてくる日本語の原稿を、翌日正午までに翻訳する。各国際交流協会が輪番で20人もの中国語ネーティブの翻訳者たちの協力を得て、113本の情報を発信した。原発の放射能の影響などデリケートな内容を限られた時間でどう伝えるか、よく議論したことが思い出される。

 13年には東日本の被災地から関係者を大阪に招待して研修会を続け、緊急時に4言語で情報発信できる多言語ブログも準備、訓練を積んだ。

 今年2月には東京から文化庁や多文化共生の担当者らを招き、「今、あらためて多文化共生を問い直す」というフォーラムを実施。近畿圏の関係者ら50人が集まり、「日本語」「防災」「多文化共生」「地域の状況」をテーマにした分科会で意見を交わした。

 入国管理法が改正され、4月から外国人受け入れが拡大される。真の共生には外国人当事者の視点と参加が不可欠だ。しかし文化の異なる外国人を無意識のうちに排除しがちな日本人の「あたりまえ」という感覚を克服することは思いのほか難しい。外国人とともに、どのような社会を築いていくのか。今こそ、当事者から最も遠い行政や政策立案者たちとの間を丁寧につなぐ活動を多彩に展開したい。


 地域の活性化や多文化共生に取り組む市民が執筆します。次回は4月12日掲載予定。


 ■人物略歴

 1974年生まれ。箕面市立多文化交流センター館長・市国際交流協会総務課長。トルコ・イスタンブールに4年半留学。家庭でもトルコ出身の夫、中学生の長女とトルコ語、日本語を使い分ける多文化の生活を送っている。

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