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スポーツ界で作り出そうとしている流れに逆行してはいまいか。
日本オリンピック委員会(JOC)で、「選任時70歳未満」という役員の定年規定に例外を認めようとの検討が進められている。
竹田恒和会長(71)の続投を念頭に置いたものとみられる。竹田氏は2001年秋から10期にわたり会長を務め、今夏に改選を迎える。定年延長となれば、JOCは竹田氏の下で来年の東京五輪・パラリンピックを迎えることになる。
スポーツ庁では今、各競技団体が守るべきルールの策定を進めている。きのう示された素案では、適切な組織運営を確保するため、理事の就任時の年齢や再任回数に制限を設けるよう促した。
これらは昨年、スポーツ界の不祥事が社会問題になったことを教訓にしたものだ。
女子レスリング界のパワーハラスメントや、日本ボクシング連盟の不適切な助成金使用は、組織の中枢にいる人物に長期間、権力が集中したことが腐敗につながった。
再発防止に向け各競技団体にルールを課そうとしている時に、統括団体であるJOCが流れに背く動きを見せるのは筋が通らない。
ましてJOCは各競技団体がルールを順守しているかチェックする側に立つ。よりルールに厳格な姿勢を示す責任がJOCにはあるはずだ。
竹田氏については、東京五輪招致をめぐる贈賄容疑でフランス当局が捜査に乗り出している問題もある。
起訴されると決まったわけではないが、日本の競技団体を統括する立場から東京大会をアピールする顔としてふさわしいだろうか。
国際オリンピック委員会(IOC)委員でもある竹田氏に各国とのつなぎ役の期待が掛かることは理解できる。しかし現状では、国際舞台で自由に活動が行えるか疑問である。
不思議なのは、これらの点についてJOC内で議論されたとの声が聞こえてこないことだ。むしろ「東京大会は竹田氏で」との意見が強いという。そこまで竹田体制にこだわるのはなぜなのか。
規定を変えてまで現体制を維持する必要があるというのなら、JOCはまず、その理由を十分に説明すべきだろう。