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社説

大阪府・市入れ替わり選へ 自己都合に固執した維新

 「ここでひよったら死んでも死にきれない」というのが、この奇策を編み出した理由だそうだ。それこそ、自己都合そのものではないか。

     大阪府の松井一郎知事と大阪市の吉村洋文市長がきのう、そろって辞職を表明した。4月の統一地方選に合わせて知事選と市長選を実施し、2人が入れ替わって出馬する。

     大阪維新の会が公約とする大阪都構想に再チャレンジするためだという。松井氏は記者会見で「選挙を盛り上げ、関心を持っていただく」と語った。

     今回の松井氏らの手法は、首長として議会の存在をないがしろにするばかりか、ポストの任期を十分に確保しようとするための策略にほかならない、と私たちは指摘してきた。

     「いささか思い上がっている」(二階俊博・自民党幹事長)、「地方自治を軽く見過ぎている」(福山哲郎・立憲民主党幹事長)など与野党からも非難する声が相次いでいる。

     こうした批判に耳を傾けようともしない松井氏らの対応は、自治体行政を預かる首長として、無責任ではないか。

     維新は都構想が行き詰まると選挙を繰り返してきた。2011年には橋下徹府知事が大阪市長選にくら替え出馬するダブル選を実施し、14年には出直し市長選に打って出た。今回はダブル選に加え、知事と市長が入れ替わって出馬する奇策である。

     都構想は4年前の大阪市の住民投票で否決された。議会の賛同も得られていない。公約に固執して首長選を政治利用するなら、府政や市政の「私物化」と言われても仕方ない。

     維新は府・市両議会で過半数を持っていないことがアキレスけんだ。統一地方選とのダブル選の相乗効果を期待し、議会勢力の拡大を狙っているなら「党利党略」だろう。

     松井氏らは維新への支持を背景に、入れ替わり出馬でも当選できるという自信があるのかもしれない。

     しかし、今回の騒動は、住民投票の実施時期で公明党と折り合えず、協力関係が崩れたことに始まる。都構想への支持が広がらない中での窮余の策という見方もできよう。

     自己目的のために職務を放り投げるのは、首長と議会の調整によって成り立つ地方自治の趣旨をゆがめることになる。

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