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佐藤優・評 『世界史の実験』=柄谷行人・著

 (岩波新書・842円)

 柄谷行人氏の思想的自叙伝の性格を帯びた興味深い作品だ。

 <私は一九六九年に夏目漱石論で群像新人文学賞(評論部門)を受賞した後、文学評論を数多く書き、一九七二年にそれらを『畏怖(いふ)する人間』、つぎに『意味という病』という本にまとめました。しかし、その後、文学評論が物足りなくなってきて、一九七三年ごろに、文学以外の評論を試みました。その一つは「マルクスその可能性の中心」で、もう一つは「柳田国男試論」です。それぞれ雑誌に連載したのですが、対象が異なるとはいえ、ほぼ同じ時期に構想し準備していたものです。だから、それらは必然的に交錯するものでした。/例えば、マルクスに関して、「その可能性の中心」を見るというのは、何を意味するのでしょうか。マルクスは体系的な思想家だと考えられています。(中略)/いうなれば、私はマルクスの思想の核心を、通常彼の著作において中心であると見なされていたような所ではなく、周縁に求めたのです>。柄谷氏のマルクス論の背景には、日本という特殊な文脈において共産主義革命をどのようにして行うかという特殊と普遍に関する問題意識があった。

 この問題意識を柄谷氏は柳田国男のテキストを読み解くことを通じて、中華帝国の周縁にある日本人の宗教意識(先祖信仰)が双系制にあるという結論に至る。

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