- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

瞳が、見つめ返す。
写真家、池田宏さん(38)は2008年から北海道に通い、アイヌの人たちを撮影してきた。一人ひとりに正面から向き合い、その「今」を収めた写真集「AINU」(リトルモア)を1月末に出版した。
海外の民族に関心を抱き、外国語を学んでいた大学時代、初めてカメラを買い、旅に出た。中国からポルトガルまで陸路で移動し、その地で暮らす同世代の若者を撮った。そこには自分の生活とそれほど変わらない日常があった。一方、日本にはない地続きの国境でのいがみ合いにも遭遇した。現場に来て初めて分かることがある、と肌で知った。卒業後、東京のスタジオへ入り、写真の世界に飛び込んだ。
働きながら自分の作品を模索する中で、視線は海外から国内へ。北海道のアイヌ民族に興味を持った。「どんな人たちなんだろう」。夜行バスと鉄道を乗り継いで、平取(びらとり)町の二風谷(にぶたに)にたどり着く。アイヌ初の国会議員、故萱野茂氏の出身地だ。
この記事は有料記事です。
残り1060文字(全文1470文字)