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膨大な同業者が退場していった中で、彼らが日々を重ねられた理由は何か。幸運や巡り合わせというだけでは見過ごしてしまう細部があるに違いない。その知恵を広く共有すべく、じっくり語っていただいた。
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<since 1825>
伝統を守りつつ、トレンド化粧品で世界と闘う
第二次世界大戦が終了した翌1946年、6代目澤田亀之助は「キスミー特殊口紅」を発売した。以前から海外視察を重ね、研究していた西洋式の口紅づくりを本格的にスタートさせたのだ。これ以降、伊勢半はそれまでの紅花を原料とした「紅屋」から、ファンデーションや香水など化粧品全般の製造販売を行う総合化粧品メーカーへと生まれ変わることになった。
広告面にも力を入れた。キスミー特殊口紅のキャッチコピーは「唇に栄養をあたえる」。食糧不足の中、栄養という言葉が注目を集めた。55年の「キスミースーパー口紅」の広告「キッスしても落ちない」もセンセーショナルなフレーズで人気を呼び、70年のツヤ出し専用口紅「キスミーシャインリップ」もヒット。66年には対面販売が普通だった業界でプラスチックカバーに入れた商品をフックに掛けて陳列し、消費者が自由に選べる…
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