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希望新聞

東日本大震災 被災地を描く 鉛筆胸に支援の旅 阪神大震災契機に東日本、熊本へ

流された魚網が壁面に張り付く宮城県南三陸町の倉庫=11年3月31日デッサン

 肩掛けバッグから、B4サイズのスケッチブックを取り出した。胸ポケットに差した鉛筆は芯のやわらかいB系。上空を春の風が走る。雲間から見え隠れする日差しが復興途上の街の色を微妙に変える。行きかう人たちが足を止め、おしゃべりに興じる。神戸市長田区の1級建築士、曹弘利(チョホンリ)さん(65)がデッサンを始めた。建築設計事務所が焼失した1995年1月の阪神大震災以降、各地の災害被災地を支援で訪ねながら、建物や人々の描写を続ける。新潟県中越地震、東日本大震災、熊本地震など描いた枚数は100を超えた。【栗田慎一】

 なぜ、描くのか。「モノや人を頭の中で形を再構築するには、深く見て考えなくちゃいけない。建物ならタイルは何枚か、柱の太さは、壁の材質は、そこで生きてきた人生は。写真は忘れてまうけど、絵を描けば忘れない。自分が忘れないためです」。鉛筆を動かしながら曹さんが言う。描かれた線からは、描き手のやさしさが伝わってくる。

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