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社説

和牛受精卵の不正輸出 食の資源守る対策が必要

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 海外での日本食ブームの落とし穴といえよう。貴重な和牛資源を守る対策を早急に打つ必要がある。

     和牛の受精卵や精液を不正に中国に持ち出した男2人が大阪府警に逮捕された。動物検疫を経ずに持ち出しており、家畜伝染病予防法に違反する疑いが持たれている。

     和牛とは黒毛和種など4品種やその雑種を指す。国内で飼育される牛の約4割は和牛で、そのほとんどは人気の高い黒毛和種だ。

     日本の高品質な和牛は海外での人気が高まっている。過去に雌牛や精液などが米国やオーストラリアに輸出され、その子孫は「WAGYU」として人気を博しているという。

     国産牛肉の輸出量は2017年が約2700トンで10年前の約10倍に達する。需要拡大が続けば、畜産農家が恩恵を受け、日本経済にとっても追い風となるはずだ。

     しかし、不正がまかり通れば、その効果を弱めてしまう。

     牛はほぼすべて、人工授精で繁殖されており、受精卵を「借り腹」で子牛に育てる技術も確立されている。受精卵の流出はそのまま、遺伝資源の流出につながる。

     中国は16年に日本を抜いて世界第2の牛肉輸入国となった。日本産牛肉は中国には輸出できず、受け取る側が和牛の育成や受精卵の転売などを当て込んで不正輸入しようとした疑いもあるという。

     不正に持ち出された受精卵などで育成された牛肉が安く逆輸入されるおそれもある。そうなれば、畜産農家に大きな打撃となる。

     遺伝資源保護の観点から家畜の輸出を禁止する法律はない。今回も検疫逃れが逮捕容疑で、不正持ち出しは氷山の一角との指摘もある。

     農林水産省は問題発覚後、船会社や税関などにチラシなどを配って注意喚起を始めた。さらに水際での対策の強化が必要だ。

     受精卵などの流通管理も不可欠だ。流通ルートは多様で、現在の書面による証明書だけでは最終的な購入者を把握するのは難しいという。

     精液採取から子牛生産まで一貫した記録があれば不正流出の抑止になる。記録を一元化・電子化して販路を追跡できる仕組みを構築すべきだ。牛肉の個体識別情報など既存の管理方法も参考になるだろう。

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