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社説

赤字拡大の米予算教書 世界経済の火種を増やす

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 貿易での独善的な保護主義に続き財政も野放図な運営で世界経済の火種を増やそうというのだろうか。

     トランプ米政権は10月に始まる2020会計年度の予算教書を発表した。予算編成の方針を示すもので、焦点の財政赤字は1・1兆ドルと120兆円を上回る。1兆ドル超えは22年度まで4年連続となる見通しだ。

     巨額の赤字を抱えたリーマン・ショック以来のことだ。今回は景気が拡大しているのに財政が悪化するという極めて異例の事態である。

     こうした状況を招いたのは、トランプ政権が自国優先の政策に固執しているからだ。歳入は肝煎りで始めた大型減税の影響で伸び悩む。歳出も海外への援助を減らす一方、国防費やメキシコ国境の壁建設費は増額し、総額は膨らむばかりだ。

     財政赤字はさらに増える恐れがある。トランプ政権は減税で高成長が続き、税収が増加して15年後には財政黒字になると見込む。だが、エコノミストの多くは、減税効果が薄れて成長率はもっと低くなるとみている。これが現実的な見方だろう。

     米国の財政に不安が強まれば、米国債の価格が急落して金利が急上昇しかねない。米国だけでなく世界経済を揺さぶるものだ。信用力の高い米国債は日本など各国の政府や金融機関が大量に持っているからだ。

     トランプ政権は中国と貿易戦争を繰り広げ、中国経済を悪化させた。その影響は世界経済に及び、日本も景気後退の恐れが出てきた。米国は超大国として世界経済の安定に責任がある。財政でも赤字の垂れ流しは許されないはずである。

     今後の焦点は、予算の決定権を持つ議会の対応だ。

     米国では、財政赤字の累積である債務残高を巡り、議会が上限を定めている。残高はトランプ政権で一段と増え、過去最大の22兆ドルに上る。議会にも歳出拡大を求める声が強く特例で上限凍結を繰り返してきた。

     ただ凍結期限が今月切れ、借金を増やせなくなった。資金繰りが行き詰まると、世界経済が混乱するため上限引き上げを促す声がある。

     だが、本来なら議会も健全化に取り組むべきではないか。債務上限を引き上げても、放漫財政を続けると再び同じ問題にぶつかる。超大国としての責任を自覚してほしい。

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