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過去最長207日 裁判員「参加意義」を強調、社会の理解訴え

取材に応じた裁判員経験者の2人=兵庫県姫路市内で、待鳥航志撮影

 初公判から判決までの期間が過去最長となった昨年の神戸地裁姫路支部の裁判員裁判で、裁判員を務めた女性2人が毎日新聞の取材に応じた。207日間に及ぶ裁判に向き合うため、1人は退職、1人は仕事の時間を夜に振り替えた。裁判員裁判導入から5月で10年。2人は「市民が裁判に参加することには意義がある。社会の理解が深まってほしい」と話す。

 男性3人に対する殺人などの罪に問われた男の裁判は、争点や証人の多さから審理が長期化。辞退者が増えると予測した地裁姫路支部は、裁判員と補充裁判員各6人を選任するため、通常の数倍にあたる501人に呼び出し状を出したが、うち420人が「仕事がある」などとして辞退した。

地裁姫路支部2女性 1人は退職し専念、1人は夜勤務に

 今回、取材に応じたのは元派遣社員の50代の女性と、塾講師の60代の女性。このうち当時派遣社員として働いていた女性は家族から「こんな経験は他にない」と背中を押され、裁判に専念するため仕事を辞めた。塾講師の女性は勤務先に掛け合い、夕方と夜に受け持っていた授業を夜だけにしてもらった。裁判所での話し合いが長引いて別の講師に授業の代行を頼むこともあったといい、「一度でも欠席すれば裁判員を辞めなくてはいけなくなる。体調を崩さないかとプレッシャーだった」と振り返る。

 裁判の初公判は4月16日、無期懲役(求刑・死刑)が言い渡されたのが11月8日。裁判員は、公判以外にも裁判所が指定する期日に全て出席する義務がある。2人が裁判所に通ったのは100日以上。選任された裁判員6人のうち3人が「身内の不幸」などを理由に退任した。

 長期にわたる裁判のため、元派遣社員の女性が書いたメモは200枚以上にもなった。最後に裁判長から「お疲れ様でした」と言われた時には涙がこみ上げたという。

 ただ2人は「207日は長かった」としながらも、「裁判官だけでなく、世代や経験が異なる人たちが集まって議論を深めることで、さまざまな視点や感覚を判決に反映できる」と裁判員制度の意義を強調する。一方で、「現在は時間に余裕がある人以外、長期の裁判を引き受けにくい。裁判員になった人が職場や家庭などで不利益を感じないよう配慮が必要だ」と訴えた。【待鳥航志】

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