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第103回全国高校野球選手権

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センバツ呉・支える人/中 後藤滉貴コーチ 選手に寄り添う指導 /広島

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選手たちの食事量をチェックする呉の後藤滉貴コーチ(右)=広島県呉市で、隈元悠太撮影 拡大
選手たちの食事量をチェックする呉の後藤滉貴コーチ(右)=広島県呉市で、隈元悠太撮影

 <第91回選抜高校野球>

 「ご飯が足りていないでしょ、もうちょい食べてみ」。夕食時の寮の食堂で、後藤滉貴(こうき)コーチ(23)は選手たちのどんぶりに入った白米の量を確認していた。選手は「頑張ります」と返し、どんぶりにおかわりをよそった。体を大きくするために炭水化物の摂取は必須で、食事面にも目を光らせる。

 学校の近くにある広島国際大の学生寮を間借りして呉の選手ら約20人と一緒に暮らしている。野球部OBで、昨春、保健体育の講師として呉に赴任。コーチと寮監を兼任している。早朝に起床して寮生が朝食をしっかり食べるのを見届けてから、寮を出る。授業をこなし、夕方の練習を指導し、寮では生活指導や相談も受ける。忙しい日々だが、「やりがいがあり、充実している」と話す。

 責任感が強く、寮での不測の事態に対応するため、好きな酒も断った。昨秋、夕食時に目を真っ赤にした寮生がおり、深夜に車で病院へ連れて行った。角膜に傷がつく「角膜潰瘍」と分かり、「今日来てくれなかったら、失明したかもしれない」と医師から告げられた。幸い大事には至らず、胸をなでおろした。

 もちろん、技術面の指導も積極的にする。高校、大学と内野手で活躍し、捕球から送球までのスピードは選手たちも舌を巻くほどだ。動き方を教えるだけでなく、選手が自分で考えてプレーできるような指導を心掛ける。「野球は考えるスポーツ。投手なら打者の特徴を見て、どこに投げるのが一番打ちづらいのかを考えるようにと伝えている」

 高校生のとき、中村信彦監督の指導を受けたことが、高校野球の指導者を目指すきっかけになった。「目標は甲子園。目的は人間形成」という理念に共感したという。

 自身が果たせなかった甲子園出場。「教え子」が憧れの舞台で躍動する姿を思い浮かべるだけで胸が熱くなる。「泥まみれになりながらプレーするのがイチクレらしさ。OBとしても教員としても、すごく楽しみ」と笑顔を見せた。【隈元悠太】

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