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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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列車に異常があったら緊急停止するように…

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 列車に異常があったら緊急停止するように、装置に不具合が生じたら自動的に安全な状態へもっていくことをフェイルセーフという。この設計思想を世に広めたのが1950年代のコメット機の連続墜落事故だった▲英国のコメット機が地中海上空で相次いで空中分解した事故は、それが世界初のジェット旅客機だっただけに大きな衝撃を呼んだ。大がかりな原因調査の結果、客室内の与圧の繰り返しによる金属疲労で機体が破壊したものと分かる▲その対処策がフェイルセーフである。金属疲労は起こることを前提に、亀裂が生じた時にも広がらないような設計にするのである。そうした安全設計にもとづく米国のボーイング707が本格的なジェット旅客機の時代をもたらした▲さて今日、そのボーイング社の新型旅客機737MAX8がわずか5カ月の間にインドネシアとエチオピアで相次いで墜落事故を起こした。犠牲者は346人にのぼる。このため同型機の運航停止がアジアや欧州などで広がっている▲米国内でも運航中止を求める声が上がり、トランプ大統領も「(飛行機の)複雑さが危険を生む」と独自の航空安全論をツイートした。しかし、ボーイング社は「安全性には完全な自信を持っている」と疑念の打ち消しに躍起(やっき)である▲同社にすれば日本で導入予定のものを含め5000機以上を受注した新型機の信頼失墜は避けたかろう。ならばなおのこと、異常には安全な対処をというフェイルセーフの思想が必要な時ではないか。

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