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社説

内閣法制局長官の発言 政官の境がぼやけている

 政と官のあり方を改めて考えさせられる発言だった。今月6日の参院予算委員会で野党をやゆした横畠(よこばたけ)裕介内閣法制局長官の答弁である。

     横畠氏は立憲民主党会派の議員から国会の行政監視機能の定義を問われ「このような場で声を荒らげて発言するようなことまで含むとは考えていない」と答えた。声高に政権を批判する野党への皮肉だった。

     法制局長官は政府の法令を審査する最高責任者であり、内閣の法律顧問的な性格を持つ。

     他方、国会で政府の憲法解釈について答弁を求められることも多い。官僚の一ポストでありながら、憲法を頂点とする法体系の安定を図る重要な役割を期待されているからだ。そうした評価は与野党の暗黙の了解によって成り立ってきた。

     その法制局長官が政権と一体化し、野党を挑発するというのは前代未聞だ。政治的な発言が長官としての正統性を傷つけていることを横畠氏は認識しなければならない。

     横畠氏が就任したのは、集団的自衛権に関する憲法解釈の変更が議論になっていた2014年のことだ。安倍晋三首相が解釈変更の推進役として長官に起用した元外務官僚が病に倒れ、法制次長だった横畠氏が急きょ昇格した経緯がある。

     国民に選ばれた政治家が政策を決め、国民に雇われた官僚がそれを実行するというのが議会制民主主義における政と官の役割分担だ。

     しかし、平成の政治改革を通じ首相官邸の権限が強化される過程で、政と官の境がぼやけてきた。

     法制局長官をめぐる混乱は、政治主導をうたう旧民主党政権でもあった。憲法解釈の権限は内閣にあるとして長官の国会答弁を封印した。

     安倍政権下では政官の規律の緩みがさらに目立つようになった。

     森友問題では財務省が公文書を改ざんし、加計問題では首相秘書官らが「総理のご意向」を自治体などに伝えたとされる文書が見つかっている。国会で首相秘書官が野党議員にヤジを飛ばす場面すらあった。

     「全体の奉仕者」(憲法15条2項)であるべき官僚が官邸に奉仕するような風潮は不健全だ。

     政と官は主従関係にあるわけではない。政官双方が国民のための役割分担をもっと自覚すべきだ。

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