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社説

世界経済の悪化懸念 金融緩和回帰が解なのか

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 世界経済の減速が色濃くなる中、各国の中央銀行が金融緩和路線へ回帰する動きを見せている。

 ユーロ圏の金融政策を担う欧州中央銀行(ECB)は今月、年内の開始が予想されていた利上げを来年以降に先送りした。刺激策となる銀行向け長期低利融資の再開も決めた。

 昨年末に量的緩和を終了したECBは、今秋以降、利上げ局面に入るとみられていた。これに先立ち米国でも、連邦準備制度理事会(FRB)が、当分利上げを実施しない方針に転換していた。

 アジアではインドの中央銀行が先月、1年半ぶりの利下げを実施している。政策をまだ変更していない中央銀行も、次の一手は「利上げ」ではなく「利下げ」との観測が多い。

 世界経済の成長見通しが下方修正されているためだが、そもそもの要因は、米中の貿易戦争や英国の欧州連合(EU)離脱といった政治・外交に起因するものだ。

 裏を返せば、政治家による問題解決により、暗雲のかなりの部分を取りはらうことができる。にもかかわらず、早々と中央銀行の金融緩和に期待が向かい、一部がすでに動いているというのはおかしな話だ。

 しかも、長引く超低金利による弊害が指摘されている。

 例えば世界的な債務の増加だ。経済協力開発機構(OECD)によると、世界で企業が発行した社債(借金の一種)の残高は、昨年末13兆ドルに達し、2008年の金融危機前に比べ倍以上に膨らんでいる。中でも格付けが低い企業の社債で残高の膨張が目立つ。

 投資家心理が反転し、金利が本格上昇を始めたら、多くの企業が返済不能に陥るリスクがある。

 金利の正常化が道半ばの状態で利下げに回帰すれば、本格的な不況に見舞われた際に取り得る政策の選択肢を狭めてしまう。

 すでに行き詰まっているのが日銀だ。世界経済の減速は認めながらも、あくまで欧州と中国の短期的な現象と位置付ける。そのうえで国内経済は「緩やかに拡大している」と従来の判断を据え置いた。

 努めて楽観する姿勢には、追加的な刺激策の余地がほとんどない日銀の苦しさがにじむ。海外の中央銀行は教訓とした方がよい。

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