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第103回全国高校野球選手権

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球春にエール!

第91回センバツ/中 78年からの球児の定宿 ともに戦う気持ち

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甲子園出場校から贈られた色紙や記念品を前に、球児について語る寿楼社長の坊武弘さん=神戸市須磨区で、山崎征克撮影 拡大
甲子園出場校から贈られた色紙や記念品を前に、球児について語る寿楼社長の坊武弘さん=神戸市須磨区で、山崎征克撮影

 <第91回選抜高校野球>

 広々としたロビーの一角に、球児から贈られた色紙や記念品が並ぶ。神戸市須磨区の旅館「寿楼」。1978年から甲子園の出場校を受け入れてきた。「球児は声が大きくて礼儀正しい。今も昔も変わらないですよ」。20代から宿で働き、父を継いで社長を務める坊武弘さん(66)は言う。

 練習場と宿舎の往復ばかりの選手たちにとって、食事は最大の楽しみの一つ。センバツ期間中は肌寒い日が多く、寄せ鍋やすき焼きなど体が温まるものを日替わりで出すよう工夫している。

 遠征で訪れる高校の運動部員らを積極的に受け入れてきたが、かなわぬ年もあった。95年1月の阪神大震災。窓ガラスが割れ、配管が壊れた。兵庫県西宮市の阪神甲子園球場までの交通網も遮断され、春は球児を受け入れることができなかった。その年の夏、福岡県の代表校が泊まりに来てくれた時は「本当にうれしかった」と振り返る。

 この春は筑陽学園(福岡)を迎える。部員には、かつて寿楼に泊まりセンバツで活躍した選手の息子もいる。「勝負事だし、宿にも活気が出る。従業員もチームと一緒に戦っている気持ち」。今大会もテレビにかじりつくことになりそうだ。

 甲子園のお膝元の宿も球春が待ち遠しい。球場から道路1本隔てた向かいに建つ「甲子園ホテル夕立荘」は東京代表の定宿。社長の島田昭一さん(77)は「勝って喜んでいる姿を見たい」。国士舘(東京)に声援を送るため、いつものようにアルプス席に駆け付ける。

 同じく球場そばの「やっこ旅館」には大分が宿泊。おかみの芳本三栄子さん(68)は「学校、代によってカラーが違って面白いし、お世話をするのは大きなやりがい。一日でも長くいてほしい」。

 グラウンドの外で球児を支える人たちが、時代を超えて、開幕を心待ちにしている。

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