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社説

ニュージーランド銃乱射 寛容な社会規範の維持を

 移民に寛容な国で起きた不条理に憤りを禁じ得ない。

     ニュージーランド南島最大の都市クライストチャーチのイスラム教礼拝所モスク2カ所で先週、銃乱射事件が起きた。

     オーストラリア出身の「白人至上主義者」を名乗る男が、半自動式銃など5丁を使って無差別に銃撃した。犠牲者は50人に上り、多くは移民や難民だったという。

     無防備な市民を襲い、平穏な地域社会を脅かすテロは許されない。

     もともと英国移民を中心とする移民国家であるニュージーランドは、先住民の権利保障など少数派に寛容な国柄で知られる。

     人口は474万人で、最近では毎年6万~7万人の移民を受け入れ、イスラム教徒を含むアジア系移民が増えているという。

     排外的な妄想による事件だが、救いだったのは38歳の女性首相、アーダンさんが投げかけたことばだ。

     「ニュージーランドの最も暗い日の一つだ。被害者には難民や移民もいただろうが、彼らはニュージーランドを自分の家に選んだ。彼らは私たちなのだ」

     改めて寛容を訴えた首相への連帯の輪が広がっている。多くの白人が現場に献花する映像が放送され、各国首脳も相次いで弔意を表した。

     世界各地では移民排斥やイスラム恐怖症が広がっている。紛争や格差を温床とする難民の大量発生や、過激派組織「イスラム国」(IS)の台頭がきっかけとなった。

     2017年には移民に寛容なカナダでモスクを極右思想の大学生が銃撃し死者が出ている。米国では白人至上主義の集会に抗議する集団に車が突入した事件があった。

     男は移民を「侵略者」と呼んだが、自由な人の往来やモノの移動なくして現代社会は成り立たない。

     だからこそ、ドイツのメルケル首相は政治的リスクを覚悟で多くの難民を受け入れたのだろう。

     一方、トランプ米大統領は今回の事件で白人至上主義のテロを批判せず、野党から非難されている。

     少数派を尊重し、多様性を受容しなければ分断は深まるだけだ。外国人労働者を受け入れる日本にとっても無縁ではない。私たちもこうした認識を共有したい。

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