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社説

児童相談所と法制度 大幅な体制拡充が必要だ

 虐待防止に向けた児童福祉法と児童虐待防止法の改正案がきょう閣議決定され、今国会に提出される。

     体罰の禁止を法律に明記することにはなった。だが、急増する虐待に児童相談所の体制が追いつかない現状の改善については不十分と言わざるを得ない。政府内で虐待対策の重要性について意思統一ができているのか疑問を感じる。

     日本の児相の特徴は、幅広い業務を少ない職員が担っていることだ。1児相が管轄する人口は平均約60万人で、欧州諸国より著しく多い。小学4年女児の虐待死が起きた千葉県野田市を管轄する柏児相は130万人以上が住む地域を担当している。

     児相の設置義務があるのは都道府県と政令市で、中核市には2カ所しかない。「網の目」の粗さが虐待の増加に対応できない要因でもある。

     厚生労働省は中核市と東京23区の児相設置を義務にする方針だったが、現場から反対され、法施行後5年をめどに設置できるよう政府が支援するという内容へ後退した。

     一方、2023年までに国が人口などを基に児相の設置基準を新たに定めることが盛り込まれる。きめ細かく対応できる体制整備は早急に進めなければならない。4年後の施行というのは遅すぎる。

     一定の講習受講などを条件に自治体職員向けに認定している「児童福祉司」を、新たに国家資格にすることも検討される。現在は都道府県の一般職員の人事異動のルールで配置されるため、2~3年しか児相の現場にいないケースが多いが、虐待に対応できるようになるには5~10年は現場経験が必要とされる。

     国家資格にすることで専門職であることを自治体が認め、一般職とは別枠で長く児相に在籍できるようにすることが必要だ。

     児相内で親から子どもを引き離す役割と、保護者の支援をする役割を分けることも盛り込まれる。手遅れにならないうちに子どもを保護することが期待される。

     全国の警察が18年に児相に通告した子どもは8万人を超える。被害に遭った子どもは1394人(うち死亡36人)で前年より2割も多い。児相の体制と機能を飛躍的に拡充する必要がある。今回の法改正をその第一歩にしなくてはならない。

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