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武田 砂鉄・評『なぜオフィスでラブなのか』西口想・著

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究極の「公私混同」はどう描かれてきたか

◆『なぜオフィスでラブなのか』西口想・著(堀之内出版/税別1800円)

 とにかくこの明確なタイトルに痺(しび)れる。何が書かれ、何を考察しているのかが即座に見えるタイトルは、デキる社員のプレゼン資料のようだ。

 小説の中に登場する「オフィスラブ」から、恋愛観や労働観を掘り出し、「公私混同」の描かれ方の過去と現在を解く。合コンで出会った2人の結婚式に出向くと「共通の友人の紹介で出会い……」とはぐらかされることがあるが、オフィスラブは、はぐらかされない。「会社の同僚」と紹介される。本来、職場では忌避されるはずなのに、その事実が明らかになった途端、プロセスを問われなくなるのだ。

 1970年代から使われるようになった「オフィスラブ」との響きに気恥ずかしさを覚えつつ、自分と同世代の著者に「70~80年代に出会いの主流となったオフィスラブによってこの世に生を受けた、いわば『オフィスラブ時代の子ども』なのである」と言われれば、自分の両親の出会い(オフィス同士が近い英会話教室)は少々イレギュラーだったか、と思い出す。

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