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K原さんちの里山探検

鳥取県南部町で暮らす自然観察指導員の桐原真希さん一家。山陰の生きものたちと里山の暮らしをご紹介します。

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K原さんちの里山探検

/22 ギフチョウ ぜいたく、春の女神観察 /鳥取

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ギフチョウ=桐原佳介さん撮影
ギフチョウ=桐原佳介さん撮影

 学生時代のこと。千葉に住んでいた私は憧れの蝶(ちょう)を見るため、わざわざ仲間と共に東北道を5時間走って山形まで赴いたこともありました。それが今、自転車で十数分のところに生息しています。氷河期の生き残りとされている絶滅危惧種、ギフチョウです。

 この蝶と同じ町に住んでいるというだけで、なんとぜいたくなことか、発見した時の喜びと驚きは今でも明確に覚えています。3月末から4月上旬、ソメイヨシノが開花するシーズンとギフチョウが飛び交う時期はほぼ同じ。わずか数週間の活動期に、新しい繁殖地を確認したり、生息地の環境の様子を見て回ったりと、慌ただしい観察が続きます。

 例えば、アゲハやモンシロチョウなどは、春から夏にかけて複数回産卵と羽化を繰り返しますが、ギフチョウは結婚も産卵も春先だけの1発勝負。桜の季節だけに許された恋です。約10カ月間、長い蛹(さなぎ)の期間を経ての短い婚活飛翔(ひしょう)。南部町の里山の財産でもあるこの小さな蝶はある植物と契約を結んでいます。

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