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忘れられた高齢者

知的障害のある彼や彼女たちはどんな時代を、どう生きてきたのか。障害者の高齢化問題にいち早く取り組んできた「のぞみの園」を舞台に報告する。

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忘れられた高齢者

/5 時代が違っていたら…

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むかし自分で描いた絵を、史子さんが見せてくれた=群馬県高崎市で
むかし自分で描いた絵を、史子さんが見せてくれた=群馬県高崎市で

 「赤ちゃんは誰がみてるんや?」

 「浅田さん、大丈夫か?」

 群馬県高崎市の国立重度知的障害者総合施設「のぞみの園」。開設5年後の1976年から勤務している研修・養成課職員、浅田実千代さんは、知的障害者で認知症の史子さん(89)=仮名=とは長い仲だ。以前の史子さんを「みんなのお姉さん的存在で、寮仲間の面倒をよく見ていた」と懐かしむ。世話好きな一面は、浅田さんに対しても。園内で会うと、育児や体調を気遣う言葉をかけてくれる「私の母親みたいな人だった」。

 クロスステッチ刺しゅう、機織り、塗り絵。かつての史子さんには得意なことが多かった。「お父さんは戦争行って帰ってこんかった」「お母さんが死んだから、わしはここにいるんや」。生まれ育った近畿地方の言葉で、時には自身の境遇を語った。外出先で買ったおもちゃのネックレスで身を飾り、先に逝った年下の寮仲間を抱きしめて涙する--。そんな人だった。

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