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忘れられた高齢者

/6 周囲の偏見、家族の事情

和美さんが挙げた手を、兄は握りしめた=群馬県高崎市で

 2月末の週末。兄(77)の姿を視界にとらえると、和美さん(67)=仮名=は両目を大きく開き、面会に訪れた兄夫妻に向かって左手を差し出した。その手を兄が握る。「来たよ。思ったより元気そうだ」。言葉で返すことはない妹に、話しかけながら。

 ダウン症で認知症の和美さんも、群馬県高崎市の国立重度知的障害者総合施設「のぞみの園」が開設された1971年の入所者だ。神奈川県内の生家で育ったが、8歳で知的障害児施設に預けられた。20歳でいったん帰宅。間もなく「終生保護」施設としてできたばかりの園に移った。

 兄の記憶の中で、両親は妹をすごく可愛がっていた。手元で育てたがっていた。一方、同居していた祖父からは、身内に障害者がいることに対する周囲の偏見や差別を気にする気配を感じた。和美さんは幼少期からほぼ終日見守りや介助が必要だった。だが、当時は障害者のための在宅支援制度はなかった。

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