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忘れられた高齢者

知的障害のある彼や彼女たちはどんな時代を、どう生きてきたのか。障害者の高齢化問題にいち早く取り組んできた「のぞみの園」を舞台に報告する。

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忘れられた高齢者

/8止 「独学」や「経験」が支えに

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足腰が弱り。椅子から車椅子に移るだけでも職員の介助が必要な人は少なくない=群馬県高崎市で
足腰が弱り。椅子から車椅子に移るだけでも職員の介助が必要な人は少なくない=群馬県高崎市で

 「認知症ケア専門士」。渡された名刺には、そう印字されていた。群馬県高崎市の国立重度知的障害者総合施設「のぞみの園」に勤める職員の一人、登坂庸平さんが2015年、独学で取得した資格だ。

 「障害者の認知症について、以前は何の知識もなかった」と、登坂さんは振り返る。生活のリズムが昼夜逆転した人。食事や入浴を急に拒み出した人。自分でできた着替えや片付けができなくなった人。入所者が年を重ねていくにつれて、「人柄が変わったような言動をする人が増えている」感触はあった。だが、「当初は認知症とは思わず、『不適応行動』の一つという見方をしていた」。

 入所者の高齢化問題に携わってきた古川慎治・事業企画部次長によると、園で入所者の老いが注目され始めたのは、介護棟ができた1989年ごろから。老化に伴って視力や筋力が落ち、免疫機能も低下して病気になりやすくなった人たちが出たためだった。認知症発症状況の実態調査に乗り出したのは、それから20年ほど後。「国内では長らく、医療・福祉関係者ですら知的障害者も認知症になるという認識がなかったことが大きな理由」…

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