山本紀子 毎日新聞 生活報道部長
アイスクリームも牛乳も、サバの缶詰も……。この春、食料品の値上げが相次いでいます。
子どもに人気の商品でいうと、アイス「雪見だいふく」が3月から10円▽コカ・コーラの大型ペットボトルが4月から20円▽即席めん「赤いきつねうどん」が6月から13円--それぞれ上がります。メーカーが決める希望小売価格の値上げなので、お店ですぐには上がらないかもしれませんが、いずれジワジワきそうです。
原因は、材料費や燃料代のコスト高と、荷物を運ぶドライバーの不足。材料を工場に運び、商品をお店に届ける「物流費」がかさむようになったのです。ネットで買い物する人が増えて、ドライバーもトラックも足りず物流の現場はてんてこ舞い。中国とアメリカの仲が悪くなり、段ボールの材料となる古紙を中国が日本から輸入し始めて、段ボールが品薄になったことも影響しています。
このほか、消費者が気づきにくい、ひそかな値上げが進んでいることを知っていますか。「ステルス値上げ」と呼ばれています。値段はそのままなのに、メーカーがポテトチップスやかつお節などの量を減らし、いつのまにか割高になっているのです。「ステルス」とは英語で「こっそり行う」という意味です。私も、いつも買うチーズのグラム数をチェックしています。
食べ物だけではありません。映画館が「アルバイトの賃金が上がっている」と大人の入場料を100円上げ、東京マラソンの主催者が「警備費用がかさんだ」と参加料を5000円上げ……。ゆううつになります。
どこかによいニュースはないものかと、値下げされるものを探してみました。輸入時の税金が下がったヨーロッパのワイン。まじめに払う人が増えてきたNHKの受信料。一生懸命調べたのですが、わずかでした……。
食べ物やファッション、子育て、介護を担当。教育担当の時は、各地の小中学校で子どもや先生を取材。趣味は黒人演奏者のジャズを聞くこと。苦手はスマホ操作。1966年東京都生まれ。