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介護中の死亡事故で准看護師に有罪判決

長野地裁松本支部判決を受け、「不当判決」と書かれた紙を掲げる弁護士=長野県松本市で2019年3月25日午後1時28分、小川直樹撮影

 長野県安曇野市の特別養護老人ホーム「あずみの里」で2013年、入所者の女性(当時85歳)を死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた准看護師、山口けさえ被告(58)=長野県松本市=に対し、長野地裁松本支部(野沢晃一裁判長)は25日、求刑通り罰金20万円の有罪判決を言い渡した。弁護団によると、介護に伴う入所者死亡で個人に刑事罰が下されたのは異例といい、即日控訴した。

 判決によると、被告は13年12月、施設の食堂で女性におやつとしてドーナツを誤って配り、食べた女性を窒息させて低酸素脳症で約1カ月後に死亡させた。

 検察側は公判で、被告が見守りを怠ったため、女性がドーナツを喉に詰まらせて死亡したと主張。弁護側は、被告に注視義務はなく、ドーナツも約1センチ四方で窒息する危険性はないと無罪を主張していた。

 野沢裁判長は判決で、女性が食べ物をそのままのみ込む癖があり、心肺停止後にドーナツを吐き出すと呼吸が戻った経緯などから、死因はドーナツを詰まらせたことによる窒息と認定。詰まらせる1週間前におやつをゼリー状のものに変更していたとし、被告は「記録などで確認すべきだった」とした。

 一方で、検察側が主張した注視義務違反については、被告が別の要介護者の世話をしており、「女性の異変に気付く注視を求めるのは困難」として退けた。【島袋太輔】

支援者ら懸念「介護の自粛につながる」

 介護現場で食事を配膳した施設職員個人の刑事責任が問われた今回の裁判では、長野県内外の福祉関係者らが「無罪を勝ち取る会」をつくって支援してきた。無罪判決を求めて約45万筆の署名を集めたが、有罪という結果に「介護の自粛につながる」と憤りを見せた。

 この日も長野地裁松本支部(長野県松本市)には、300人を超える支援者が全国から集まった。署名に加わった京都市の看護師、阿部未知さん(54)は「今回の判決で『介護の仕事は大変だ』というイメージが強まり、若い人が仕事に就かなくなる」とし、人手不足に拍車がかかることを懸念した。

 兵庫県姫路市の高齢者介護施設で働く女性(23)は、判決を聞いて涙ぐんだ。「こういう判決が出ると、入所者に出す食べ物も限られ、お年寄りの自由や楽しみを奪いかねない。(再発防止に向け)職員の人数を増やすなど、働きやすい環境づくりを政府に進めてほしい」と不満を述べた。【小川直樹】

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