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余録

ウナギ好きの歌人・斎藤茂吉の戦後の歌に…

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 ウナギ好きの歌人・斎藤茂吉(さいとう・もきち)の戦後の歌に「十余年たちし鰻(うなぎ)の鑵詰(かんづめ)を をしみをしみてここに残れる」がある。開戦前に大量に買い込んだかば焼きの缶詰の残りを見て、戦時中の苦労をしみじみ思い返したのだ▲歌ができない時も「うなぎノ午食ヲナシ、一気呵成(いっきかせい)ニ歌十首ヲ纏(まと)ム」。戦前からウナギ中毒ともいえる茂吉だった。食糧難でウナギも消えた戦時中はこの缶詰を食べるのを心の支えに文業に打ち込んだ(里見真三(さとみ・しんぞう)著「賢者の食欲」)▲その開戦2年目の夏の日記には、「本物の蒲焼(かばやき)が食べられなくなって久しい」とあった。もしや、またまたやそんな時代が到来するのか。養殖されるニホンウナギの稚魚・シラスウナギの漁獲量減少と不透明な取引の横行がやまない▲今季も宮崎や鹿児島でシラスウナギの漁獲が過去最低だったとのニュースと共に各地での密漁が伝えられた。一方で昨年末から今年初めに日本の養殖池に入れられたシラスウナギの8割は、香港からの輸入稚魚だったとの報道もある▲だが香港で漁の実態はなく、台湾などから不法に持ち込まれた可能性が高い。そんな実情は昨年、ワシントン条約事務局の報告でも指弾された。今年5月の同条約締約国会議ではニホンウナギの国際取引の透明化が論議の対象となる▲稚魚乱獲と違法取引の根絶には捕獲から流通までの透明化や、消費者の理解が欠かせない。そんな取り組みを業者に促し、缶詰より出来たてのかば焼きを子孫に伝えるのが今日のウナギ好きの責務だろう。

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