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「休業中でここも空っぽですわ」。2月半ば、西宮冷蔵(兵庫県西宮市)社長の水谷洋一さん(65)は、雪印食品による牛肉偽装の現場となった「6番倉庫」を見回し、苦笑いした。薄暗い倉庫内は床や壁がはがれ落ち、ほこりの臭いが漂う。「あれから良い意味でも悪い意味でも、予想外が多かったです」
2002年、雪印食品が国の牛海綿状脳症(BSE)対策の国産牛肉買い取り事業を悪用し、外国産牛肉を国産の箱に詰め替えていたことが発覚した。その2年前に雪印乳業が大規模な食中毒事故を起こし、経営悪化していた雪印グループは実質的な解体に追い込まれる。発覚の端緒は、水谷さんの告発だった。
「相手は大企業で得意先。葛藤ありましたよ。最初は雪印側に『国に正直に話した方がええ』と何度も助言したのに聞き入れられなかった。それで『世間をなめとったらあかんで』と怒りがわいたんや」
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