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平成という時代

平成最後の年を迎えた。平成は、グローバル化やインターネットの普及を背景に社会が大きく変化し、価値観の多様化が進んだ時代だった。さまざまな変化を追うとともに、その先にある次代をどう描いていくべきか考えたい。

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第4部 伝える/3 大企業告発、悔いなし 西宮冷蔵社長・水谷洋一さん(65)

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=木葉健二撮影
=木葉健二撮影

 「休業中でここも空っぽですわ」。2月半ば、西宮冷蔵(兵庫県西宮市)社長の水谷洋一さん(65)は、雪印食品による牛肉偽装の現場となった「6番倉庫」を見回し、苦笑いした。薄暗い倉庫内は床や壁がはがれ落ち、ほこりの臭いが漂う。「あれから良い意味でも悪い意味でも、予想外が多かったです」

 2002年、雪印食品が国の牛海綿状脳症(BSE)対策の国産牛肉買い取り事業を悪用し、外国産牛肉を国産の箱に詰め替えていたことが発覚した。その2年前に雪印乳業が大規模な食中毒事故を起こし、経営悪化していた雪印グループは実質的な解体に追い込まれる。発覚の端緒は、水谷さんの告発だった。

 「相手は大企業で得意先。葛藤ありましたよ。最初は雪印側に『国に正直に話した方がええ』と何度も助言したのに聞き入れられなかった。それで『世間をなめとったらあかんで』と怒りがわいたんや」

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