SUNDAY LIBRARY

岡崎 武志・評『安野光雅 自分の眼で見て、考える』『レコード越しの戦後史』ほか

  • はてなブックマーク
  • メール
  • 印刷

今週の新刊

◆『安野光雅 自分の眼で見て、考える』安野光雅・著(平凡社/1200円)税別

 著名人が自身の人生を語り下ろす、この「のこす言葉」シリーズはいい。第3弾は『安野光雅 自分の眼で見て、考える』。絵本作家、エッセイストでも知られる画家は、今年93歳だという。

 1926年、島根県津和野生まれ。小学生の頃「不登校児」というのが意外。ただ、「絵描きになりたい」とずっと思っていて、その「一本の線を、くねくねと軌道修正しながら辿ってきて今がある」と語り口はユニークでユーモアがある。戦後、玉川学園園長・小原と運命の出会いをして、道が開けた。

 激動の時代を生きぬいた者としてのさまざまな提言もある。日本の教育は、何でも数字や順位で評価する。「自分の頭で考えることが大事です」と言う。『旅の絵本』シリーズが下描きなし、というのは驚いた。旅をして、実物を見た自信が独自の風景画を生んだ。 モットーにする言葉が「雲中一雁」。雁(がん)は群れて飛ぶが、離れて一羽でも飛ぶ。「しょせん一人」という覚悟が著者を支えた。

この記事は有料記事です。

残り1385文字(全文1836文字)

あわせて読みたい

注目の特集