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社説

現実味帯びるAI兵器 手遅れになる前に規制を

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 21世紀の人間社会を根本的に変える可能性のある人工知能(AI)が兵器と一体化したときに世界はどうなってしまうのか。それを真剣に考えねばならない段階に入った。

 AI兵器の開発・使用に関する国際ルールづくりを話し合う国連の専門家会合がスイスのジュネーブで始まった。議題となっているのは、人間が関与せずAIの判断で人を殺傷する「自律型致死兵器システム」(LAWS)をいかに規制するかだ。

 「ディープラーニング」(深層学習)などの技術革新はAIの状況認識や判断能力を飛躍的に高め、車の自動運転や介護ロボットなどの恩恵をもたらすことが期待されている。

 しかし、それが軍事に転用されれば、最も効率よく敵を見つけて攻撃する兵器の開発につながる。人の殺傷をためらう人間的な感情を持たない「殺人ロボット」の登場が戦争の様相を大きく変容させかねない。

 AI兵器が火薬、核兵器に続く、戦争における「第3の革命」といわれるゆえんだ。強力な火器の登場によって第一次世界大戦は国家を挙げての総力戦と化した。第二次大戦では核兵器が国を丸ごと破壊する力を持っていることを示した。

 AI兵器は狙った軍事目標を正確に攻撃するから被害は局限化されるとの見方もある。だが、軍人と民間人を区別できるのか。AIが暴走して人類と敵対する「ターミネーター」などの映画は、機械が人を殺す未来への警告と受け止めるべきだ。

 為政者にとってはAI兵器を前線に投入することで自国兵士の死傷を避けられる。その分、戦争を始めるハードルが下がる懸念がある。

 先進国と途上国の技術格差が国際社会の分断を招く恐れもある。途上国の紛争地域に先進国が軍事介入した結果、AI兵器で殺傷されるのは途上国の兵士や民間人ばかりという悲劇が起こらないとも限らない。

 そのため国連の議論は、中南米やアフリカの途上国が国際法上の拘束力がある規制を主張し、AI兵器の開発で先行する米国やロシアなどが反対する構図が続く。日本は法的拘束力のない文書の形で各国の意見集約を図るよう提案している。

 いったん実用化されてしまえば後戻りは難しい。手遅れになる前に規制の網をかける必要がある。

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