メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

リモートワーク最前線

仕事も休暇も!子連れで北海道・知床へ 現地で児童館デビュー

雄大な屈斜路湖を望む=北海道弟子屈町で2019年3月24日午後3時、今村茜撮影

[PR]

 ワーク(仕事)とバケーション(休暇)を組み合わせた「ワーケーション」という新しい働き方が広がりつつある。欧米発祥で、日本でも大手企業が導入し、話題となっている。記者は娘2人の春休みに合わせて、子連れでワーケーションをしようと北海道・知床に飛んだ。3月23~31日の親子ワーケーション体験を3回に分けて報告する。【今村茜】

なぜ知床?

ワーケーション日記 北の国から編

 東京都内在住の記者には、4月に小学3年生になる長女(8)と、小学校に入学する次女(6)がいる。夏休みや春休みなどは学童保育に通わせているが、せっかくの長い休み、学校ではできない体験をさせたい。しかし私は、特に春は長い休暇が取りづらい。どうにか仕事を休まず、子どもを旅行に連れて行けないか。思いついたのが、子連れワーケーションだった。

 土日に移動し、平日5日は現地でインターネットを使った「テレワーク」をすれば、仕事をこなしつつ娘たちも旅を楽しめる。こうしたワーケーション(ふるさとテレワークとも呼ばれる)は観光収入増につながるため、和歌山県白浜町や長野県軽井沢町など、いわゆるリゾート地の自治体が積極的に誘致している。記者も昨夏、白浜町の親子ワーケーションイベントに参加した経験があった。

長女は初めて見たつららを手に取りうれしそう=北海道網走市呼人の網走湖で2019年3月23日午後4時、今村茜撮影

 しかし、親子連れを対象にしたワーケーションは少なく、平日昼間に子どもを預かってくれる自治体は見当たらなかった。白浜町のイベントは珍しい試みだったのだ。諦めかけた記者のもとに、北海道・知床の斜里町では、テレワークで訪れた人の子どもが現地の児童館を利用できるという情報が入った。小学生なら保護者の付き添いが不要で、4月に入学する次女も該当するとのこと。娘たちに大自然の雪景色を見せようと、さっそく利用を決めた。

 そうして始まった北国での親子ワーケーション。楽しさや苦労が盛りだくさんだった。

つららで雪にお絵かきをする長女=北海道網走市呼人の網走湖で2019年3月23日午後4時、今村茜撮影

3月23日(土)移動1日目 夫に見送られ、北海道に飛ぶ

 羽田空港まで見送りに来た夫は、出発ロビーで名残惜しそうに娘たちと抱き合う。長女は「パパ行かないの」と涙目だ。「パパはお仕事だから」と言う夫に、内心「私も仕事するんだけど」と突っ込みを入れた。

 正午に搭乗し、午後2時、予定より早く女満別空港に到着。雪が珍しい娘たちは、路肩の雪を触ってはしゃいでいた。

 女満別空港から斜里町までは、網走を経由するルートが一般的。乗り物酔いしやすい長女のため、この日は斜里町まで行かず、バスで網走湖のホテルに行って宿泊した。

ワーケーションで訪れた北海道の網走湖は一面が氷と雪に覆われていた=北海道網走市呼人の網走湖で2019年3月23日午後3時半、今村茜撮影

3月24日(日)移動2日目 北海道の雄大な自然に娘たちは驚きの連続

 朝、ホテルの部屋の窓をあけると眼下に雪と氷に覆われた網走湖が広がった。娘たちは眠い目をこすりつつ「早く雪で遊びたい」。湖を眺めながらバイキング形式の朝食をとる。大鉢に山盛りのイクラに驚く。

 午前10時、斜里町を紹介してくれた、テレワークの第一人者である田澤由利さんが車で迎えに来てくれる。企業や自治体のテレワーク導入を支援する「テレワークマネジメント」など2社を経営するパワフルな女性だ。

屈斜路湖では飛来したオオハクチョウが羽を休めていた=北海道弟子屈町屈斜路湖畔の砂湯で2019年3月24日午後2時、今村茜撮影

 雪道の運転が不安な私は、斜里町までバスやJRで移動する予定だった。しかし3人の娘の母でもある田澤さんが、子連れでは大変だろうと送迎を申し出てくれたのだ。大変ありがたい。

 田澤さんの厚意で、日本最大のカルデラ湖、屈斜路湖に立ち寄った。湖畔ではオオハクチョウが羽を休めている。峠の展望台から湖を見下ろすと、白い雪と雲の区別がつかないほど。雄大な景色に長女は何度もため息をついていた。

噴煙が上がり、硫黄のにおいがたちこめる硫黄山=北海道弟子屈町川湯の硫黄山で2019年3月24日午後3時、今村茜撮影

 湖東部の弟子屈町にある硫黄山では、噴煙が上がり、次女が「おならのにおい!」。温泉卵も食べ、娘たちは大満足だった。

 午後4時過ぎ、斜里町のテレワーク施設「しれとこらぼ」に到着。テレワークで訪れた人をサポートする「知床スロウワークス」のメンバーらが迎えてくれる。ペンション経営者や漁師ら地元の約30人でつくる有志団体だ。ラボの1階は仕事場、2階は3LDKの宿泊施設。冷蔵庫や洗濯機など生活に必要なものがそろい、テレワーカーは無料で宿泊できる。

テレワーク拠点の「しれとこらぼ」に到着した記者ら親子。1階が仕事場で2階が宿泊施設=北海道斜里町本町で2019年3月24日午後4時撮影

 明日からは通常業務をこなさなければ。気を引き締めつつ、ラボ2階で就寝。

3月25日(月)テレワーク1日目 娘たちを児童館に預け、仕事に集中

 今日は娘たちの児童館デビュー。「北海道にお友だちができるよ」と言うと、小心者の長女は「話しかけられない」と口をへの字にしていた。

娘たちが日中を過ごす斜里町の児童館「あそぼっくる」=北海道斜里町で2019年3月25日午前10時、今村茜撮影

 午前10時、北海道のコンビニ・セイコーマートでおにぎりなどを買って児童館「あそぼっくる」へ。リノベーションされたばかりで新しく、木製の遊具がある遊び場や図書室、体育館まであり、とにかく広い。利用時間は午前10時~午後5時45分。うってかわって笑顔になった娘たちをお任せして、ラボに戻る。

しれとこらぼの仕事場で、スマホを使って東京の企業を取材=北海道斜里町本町のしれとこらぼで2019年3月25日午後3時、今村茜撮影

 1階の仕事場で、締め切りが迫った原稿を執筆。午後2時、中国向けインターネット通販を支援する「トレンドエクスプレス」(東京)の社員に「ウェブ取材」。スマホのビデオ通話で相手の顔や資料を確認しながら、中国のネット通販事情について説明を受ける。「後ろに雪が見えますが、どこにいるんですか」と驚かれた。社内でも中国在住の社員とよくウェブ会議を開くそうで、慣れた様子で質問に答えてくれた。

 午後3時半、記事執筆を再開。合間に東京や名古屋の企業に電話取材をする。児童館の閉館が近づき、急いで仕事を進める。

 午後6時、町役場の方に送られて娘たちが帰ってきた。「楽しかった!」と大はしゃぎだ。同年代の女の子たちと遊んだとのこと。引っ込み思案な娘たちが見知らぬ土地ですぐ友達をつくれて、母は成長を感じ感無量だ。

 午後7時、スロウワークスのメンバーである漁師の赤木秀樹さんが、隣の清里町の温泉に誘ってくれる。外の気温はマイナス3~10度で、昨晩は部屋のお風呂がすぐ冷えてしまったので、ありがたく連れていってもらう。温泉で温まった後は、夕食のジンギスカンを堪能した。

 午後9時、ラボに戻る。娘たちが寝静まった後、終わらなかった記事執筆を再開したものの、疲れたのか寝入ってしまった。(続く)

今村茜

2006年毎日新聞社入社。経済部や統合デジタル取材センターでビジネスや働き方の取材を進める。自ら子連れでワーケーションを体験したルポ記事の執筆を機に、リモートワークやワーケーションなど新しい働き方を模索する新規事業「Next Style Lab」を社内で発足。2020年4月からは記者を兼務しながら「毎日みらい創造ラボ」で事業展開。Google News Initiative Newsroom Leadership Program 2019-2020 フェロー。3児の母。

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 「結婚は認める」しかし… 秋篠宮さま、重い立場に複雑 「見える形」での説明求める

  2. 「多くの人が納得し喜んでくれている状況ではない」 秋篠宮さま会見全文

  3. 「親としては尊重。結婚を認める」 秋篠宮さま、眞子さまの思い表明に

  4. 「菅語」を考える 論理的でない受け答え「首相の器ではない」 上西充子法政大教授

  5. 呼吸困難や倦怠感…実は深刻なコロナ後遺症 病院で相手にされず 医師「国は対策を」

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです