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余録

17世紀末、入植間もない米北東部の村で…

 17世紀末、入植間もない米北東部の村で、体に異変を来した少女らの告発から無実の村人が次々に「魔女」と名指しされ、死罪を言い渡された。1692年にあった悪名高き「セーラムの魔女裁判」である▲魔女の存在が信じられていた時代とはいえ、男女19人と犬2匹が処刑され、乳児を含む100人以上が投獄された。異様な騒ぎに知事が気付き、全員を釈放して幕を閉じた。恐怖の連鎖が生んだ集団ヒステリーによる「魔女狩り」として米国史に刻まれた▲300年余の時を越え、それを呼び覚ましたのがトランプ米大統領だ。自身に降りかかる疑惑捜査を「魔女狩り」と称し「でっち上げだ」と怒気を込めて叫んだ。ツイッターに書き込んだ数はこの2年間で200回に迫る▲2016年米大統領選でのロシア介入問題に絡む疑惑捜査は、トランプ陣営の共謀を「確認できず」と結論付け決着した。トランプ氏は「無罪放免だ」と手をたたき、側近は疑惑を追及した野党・民主党やメディアに謝罪を求めている▲ただし、疑惑が完全に晴れたわけではない。犯罪事実の有無とは別に政治的、道義的な問題はなかったか。司法省は近く捜査報告書の詳細を公表するという。民主党も攻撃の手を緩めない構えだ▲20年大統領選に向け与野党の攻防が激化するのは避けられないだろう。だが、恐怖や怒りで対立をあおるなら、米国の分断は深まるだけだ。魔女裁判後、セーラムの村は和解が進み平穏が戻る。「魔女狩り」から学ぶべき教訓がある。

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