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社説

就労外国人 新制度あすスタート 日本社会が変わる転換点

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 外国人労働者の受け入れを拡大する改正入管法が、あす施行される。

 昨年12月に成立したこの法律は、細部を詰め切れず生煮えだった。その後3カ月余しかたっていないため、政府の準備不足は明らかだ。

 それでも専門職以外の外国人は受け入れないという従来方針の大転換である。そのインパクトは大きい。

 背景にあるのは、少子高齢化と人口減少が同時に進行する日本の構造変化だ。

 国立社会保障・人口問題研究所によると、2015年国勢調査で1億2700万人の人口は、半世紀後の65年、8800万人と推計される。

 さらに、65歳以上の高齢化率は15年の26・6%から、65年には38・4%に上昇する。長寿化を反映した人口構成となり、元気で働ける層は割合、絶対人数とも減る。

技能実習の反省生かせ

 国内の働き手が細る中で社会の活力をどう維持するのか。外国人労働者の受け入れ拡大は、行き着くべくして行き着いた道と言える。

 国会審議では、政府から「深刻な人手不足を補うため」との説明が繰り返された。ただし経済の論理だけで新制度をとらえるべきではない。

 安い賃金で都合よく労働力を使おうとすれば、この政策転換は早晩、頓挫するに違いない。実習とは名ばかりの技能実習生が置かれてきた低賃金、長時間労働の現実は、失踪の多発など社会にひずみを生んだ。その反省を生かさねばならない。

 受け入れ企業の意識改革が欠かせない。また、労働者としてだけでなく、生活者として日本人と同等の権利を認め、必要な支援をすべきだ。

 送り出し国はベトナムやフィリピン、カンボジアなど9カ国程度とみられている。それぞれ独自の文化を持つ。日本の民族的同質性にこだわれば、摩擦が生じる。異なる歴史を持つ国の文化を認める多様性ある社会を築くことが大切だ。

 振り返れば、日本の植民地政策に由来する在日韓国・朝鮮人の人たちは、長年不安定な在留資格の下にあった。日本で暮らさざるを得なかった人たちに対し、政策的な配慮を欠いてきた歴史がある。

 こうして体系的な外国人政策を持たないままに、日本が当面の人手不足対策として踏み切ったのが、日系人を対象にした1990年の入管法改正である。

 バブル期のジャパンマネーを目当てにブラジルなどから最盛期で30万人以上が来日した。だが、政府は住宅や社会保障、日本語習得や教育など共生策に責任を負うことはなく、対応は自治体に委ねられた。

 この結果、義務教育の就学年齢に当たるのに日本の学校にも外国人学校にも通わない不就学児が多数存在することが今社会問題化している。

都市集中防ぐ手立てを

 日本に暮らしながら日本語がほとんど話せない子どもは社会に適応できず、働き先も限られる。その子どもが結婚し、子どもを持つ時代だ。社会の安定のためにも、同じことを繰り返してはならない。

 打開のお手本は先進自治体にある。90年代に日系ブラジル人の子どもが急増した浜松市は、非営利組織(NPO)などの協力を得ながら、能力に応じたきめ細かい日本語指導を展開し、「不就学児ゼロ」に近い実績を上げている。こうした取り組みを全国に広げていくべきだ。

 「日本語教育推進法案」が今国会に議員立法で提出される見通しだ。今国会で成立させ、外国人支援に生かしたい。政府が600時間以上の語学教育を保障しているドイツのような制度の導入を目指すべきだ。

 働き手世代の人口減少が著しい地方の方が新制度への期待は高い。ただし、都市とは賃金格差がある。

 同一職種内の転職が可能なため、地方の企業に雇われた労働者が、一定期間後に都市の企業に移ることも予想される。調整のため業界ごとの協議会ができるが、まずは地方企業が待遇の底上げを図る必要がある。

 移民の受け入れを巡り世界各地で議論が続いているように、多文化共生社会の実現は容易ではない。

 日本社会に必要なのは、文化の違いをありのまま受け止め、それを認める寛容さだ。共同体のメンバーとしてともに暮らし、地域社会を作っていく覚悟が求められる。

 国際的な人材争奪戦は今後、激しさを増す。外国人労働者から、働きやすく住みやすいと思われる国にならなければ、日本社会の活力は維持できなくなる。

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