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10月1日に予定される消費税率10%への引き上げまであと半年となった。無責任な借金つけ回しに歯止めをかける重要な役割を持つものだ。
ここにきて気がかりなのは、世界経済の停滞感が強まったことだ。
安倍晋三首相は「リーマン・ショック級の出来事がない限り予定通り行う」と繰り返している。日本がリーマン級の危機に直面しているわけではない。それでも増税延期の観測がくすぶっている。首相が過去に2回も景気を理由に延期したからだ。
消費税は、高齢化社会を支える重要な安定財源である。
利点は所得税や法人税と異なり、税収が景気に左右されにくいことだ。また高齢者も含む幅広い世代が負担を分かち合う。減っている働き手に負担が集中せずに済む。
消費税が導入されたのは30年前の4月1日である。ちょうど重なる平成の時代は高齢化で社会保障費が急増したが、増税は先送りが繰り返され、国の借金は1000兆円を超えた。将来世代の負担をこれ以上重くしないため財源の充実が急務だ。
首相が夏の参院選に合わせて衆院を解散するため延期をカードにする、との見方もある。だが、国家的課題を政治的な駆け引きの道具に使うのは許されない。
首相は新年度予算の成立後「2兆円の対策で経済運営に万全を期す」と語った。増税分をつぎ込む景気対策のことだが、効果は疑問だ。
柱とするポイント還元によって、中小店舗とコンビニ、大手スーパーの税率はばらばらになる。こんな複雑な制度で消費者がもっと買い物をしようという気になるだろうか。
財政出動に過度に頼らず、日本経済の足腰を強めることが大事だ。
政府は景気判断を引き下げた主因を中国経済の減速と指摘する。アベノミクスには問題がないかのような姿勢だ。だが日本の成長率は低い。賃金が伸び悩み、消費が停滞しているからだ。活性化に注力すべきだ。
10月の消費税率引き上げにあたっては軽減税率も導入される。食品などの税率を抑えて、消費を下支えする効果が見込める。
外食と持ち帰りの線引きが分かりにくいとされるが、欧州では定着している。政府は円滑な導入に向け業界の体制整備の支援を急ぐべきだ。