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サンデー毎日発

全国有力1047高校難関43大学合格者数 東大入試に異変!?

東大・京大の合格者が増えた学校

 2019年度入試で、東大と京大の合格者が増えた高校の所在地に注目すると、東大が地元の関東中心なのに対し、京大は近畿以外も多い。地域特性に差はあっても、合格者増の要因が難関大合格に向けた受験生の思いの強さ、という点は共通項だ。

     今年度の入試(19年4月入学)では、東大に異変が起きた。文1の合格者平均点が378.7604点で、文2の379.0783点を下回ったのだ。文系最難関の科類で何が起こったのか。駿台教育研究所・進学情報事業部長の石原賢一さんに聞いてみた。

     「文1の平均点が文2を下回ったことは記憶にありません。2段階選抜が行われない年があるなど、一時期人気が下がっていた文1に志願者が戻ってきましたが、受験生のレベルは文2の方が高いようです。官僚の不祥事に加え、一般企業の就職状況がいいことから、法学部人気は戻りきっていない。同様の傾向は京大の法学部と経済学部の関係にも当てはまります」

     看板学部の受験生のレベルダウンは、東大にとって頭の痛いことだろう。さらに悩みのタネとなっているのは、3月24日号で既報の通り、関東の高校出身者の割合が59.1%(前期)と高止まりし、学生の多様化が進まないことではないか。前年実績(京大は前期まで)より合格者が増えた学校を並べた左の表を見ても、渋谷教育学園幕張、聖光学院、県立浦和など、合格者の増え幅が大きいのは大半が関東の高校だ。

     東大合格者が増えた高校の表でもう一つの特徴は、中高一貫校が多数を占めていること。合格者が27人増となった久留米大付設の進路指導部長、城戸清教諭は言う。

     「19年卒の生徒は、中学から女子が入学して共学化された1期生。まじめにコツコツ頑張る女子が入って、学年全体の雰囲気が変わりました。理系の女子は医学部志望が多いのですが、文系は東大志望者が多くいました。英語をしっかり勉強して力のある女子が文科類を中心に合格し、学校全体の合格者数を押し上げました」

     今回、東大文科類は英語が易化し、得意科目の有利さを生かしにくかった。それでも合格できた一因に東大入試の特性がある。駿台の石原さんは東大入試の特性について、「ハイレベルな問題を解く力があれば合格できる京大に対して、東大は総合力が求められ、穴がある受験生は厳しい。さらに高い処理能力も求められます」と話す。まじめにコツコツ勉強を続けることで総合力を身につけた女子に向いている入試といえよう。

     学生の多様化という面で、東大は女子学生の少なさも課題として挙げる。合格発表日である3月10日の会見において、水野晴央教育・学生支援部長(兼入試課長)は、「女子の合格率は例年変わらない。合格者が増えないのは、志願者自体が少ないため」と話した。志願者が増えれば、連動して合格者が増えるということを久留米大付設の合格者増が証明した。女子にとっての東大の魅力アップが急がれるということだ。

    京大はなぜ地元以外の学生が多いのか?

     次に京大の合格状況について見ていこう。東大とは対照的に、京大は地元である2府4県(京都、大阪、滋賀、兵庫、奈良、和歌山)の高校出身者の占有率が47.9%と5割を切っている(前期の判明分から算出)。

     京大合格者が増えた学校に注目すると、東大より地域性に富み、県立前橋や小石川中教など、東大のお膝元である関東の学校も入っている。県立前橋で進路指導を担当する手島直樹教諭は言う。

     「例年なら東大を目指すレベルの生徒も京大に出願しました。入学時に学科が決まるので、やりたいことが明確な生徒にとって魅力的なようです。京大のオープンキャンパスに参加して、志望が固まった生徒が多くいます。京都の街に対する憧れも大きく、ある生徒は京都で建築を学びたい一心で受験し合格しました」

     京大の魅力が進学のモチベーションとなり、高校生を引き寄せている。ちなみに、県立前橋の京大合格者は13人中、10人が現役生。3年間で結果を出せるのは、モチベーションと共に、チームで難関大に向かう雰囲気が醸成されているからだという。

     京大合格者が増えた学校の表中にある甲陽学院は、東大も7人増えて34人が合格した。同校の進学資料室長、杉山恭史教諭がその背景を説明する。

     「両大学を目指す生徒は早い時期から志望が明確で、最後まで志望を変えずに頑張った現役生の合格者が増えました。特に数学と理科が難化した東大の理科類は、理数系科目を得意とする者が多い本校の生徒には有利に働いたかもしれません。理1に出願した現役生13人全員が合格するなど、理科類の不合格者はごく僅かでした」

     まずは合格したいという思い。そして、そのために頑張る生徒の増加が合格者増につながった。特に京大の実績アップは、担任団に京大の理系学部出身者が3人おり、京大の魅力が伝わって、志望者が増えた側面もあるという。

     志望が明確で、合格に対する思いの強さが合格者増につながるというのは、最難関の東大、京大に限った話ではない。旧帝大や早慶、MARCH、関関同立など難関大入試で結果を出した「全国有力1047高校」の実績一覧を掲載した。ぜひご覧いただきたい。【大学通信・井沢秀】

    *2019年3月31日号「サンデー毎日」より転載。「全国有力1047高校」の難関43大学合格者数については、実際の誌面で確認してください。

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