特集

Listening

話題のニュースを取り上げた寄稿やインタビュー記事、社説をもとに、読者のみなさんの意見・考えをお寄せください。

特集一覧

社説

中高年のひきこもり 親子の共倒れを防がねば

  • コメント
  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷

 中高年でひきこもり状態の人が、これまで考えられていたよりはるかに多いことがわかってきた。老いていく親が不安を抱えながら生活を支えている。孤立している家族を救わなければならない。

 ひきこもりは子どもや若者の問題と見られることが多く、政府の過去2回の実態調査も15~39歳が対象だった。2010年の約70万人から15年には約54万人に減ったが、ひきこもり状態が「7年以上」の人は2倍以上に増え、長期化と高齢化が懸念されていた。

 今回、内閣府は初めて40~64歳の5000人を対象に調査した。「自室からほとんど出ない」「趣味の用事の時だけ外出する」などのひきこもり状態が半年以上続いている人は1・45%おり、推計61万3000人に上ることがわかった。

 バブル崩壊後の「就職氷河期」に条件のよい仕事に就けなかった世代のひきこもりが長期化していると見られていたが、40代からひきこもった人もいるなど多様な実像が浮かんだ。「専業主婦」「家事手伝い」の中にもひきこもり状態の人がいる。

 パワハラや長時間労働で体調を崩したことや、親の介護がきっかけなどさまざまな要因が背景にある。男性が4分の3以上を占める。5年以上ひきこもっている人が半数を超え、中には30年以上の人もいた。

 親の蓄えや年金でかろうじて生活を維持している人、高齢化が進むにつれて病気や障害を抱え、将来を悲観している人は多い。

 親自身も70~80歳で介護が必要になる人が増えている。認知症や病気で親が倒れたとき、ひきこもっている人は生命の危機に直面する。

 厚生労働省は各自治体に相談窓口の設置を促しているが、都道府県と政令市に一つずつしかない。長期に及ぶひきこもりの人が自ら相談に行くのは難しい。

 一部の先進的な自治体や民間団体はひきこもりの人の自宅を訪ね、福祉や医療につなげる支援をしている。こうした「アウトリーチ」と呼ばれる支援がもっと必要だ。

 これまでは若年層を想定していたため、働いて自立することを目的にした支援が多い。ひきこもりの人の高齢化に合わせ、健康面や生活を支える多様な制度が求められる。

コメント

※ 投稿は利用規約に同意したものとみなします。

次に読みたい

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

注目の特集