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子どもの貧困対策練り直せ=阿部彩・首都大学東京教授

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 厚生労働省の発表によると、子どもの貧困率は、2012年から15年にかけて16・3%から13・9%へと大きく減少した。データの整備の関係で、15年が最新の値となるが、この間の好景気に鑑みると、子どもの貧困は全体的には改善していると考えてもよいであろう。

 これ自体は喜ばしいことなのであるが、子どもの貧困率を1980年代からさかのぼって詳しく分析すると、懸念すべき事がある。一つが、85年(データが存在する最初の年)の子どもの貧困率は10・9%であり、15年の貧困率が減少したと言っても、80年代レベルまで下がったわけではないということである。実際に、子どもの貧困率は過去30年間において好景気の際に減少し、景気が悪くなると以前よりもさらに悪化するということを繰り返しており、長期的なトレンドとしては右肩上がりである。そして、この間の上昇を年齢別に見ると、最も上昇しているのが20~24歳、次が15~19歳であり、若者や中高校生の貧困者が増えているのである。男性においては、この年齢層の貧困率は、70歳代の貧困率よりも高い。

 もう一つの懸念材料が、ふたり親世帯(核家族)の子どもの貧困率である。この世帯タイプは、そもそも貧困率は相対的に低く、貧困とは無縁の層と思われてきた。しかし、この世帯タイプにおいても貧困率は9・7%と約10人に1人が貧困状況にある。さらに、貧困率を再分配前(税・社会保険料の支払いや児童手当、生活保護費などの社会保障給付の前)と再分配後(手取り所得)で計算すると、この世帯タイプにおいては、再分配後の…

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