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幻の科学技術立国

「科学技術創造立国」を目指してきた日本は、中国など新興国が急速に台頭してくる中で存在感を失いつつあります。現場を歩きながら衰退の原因を探り、再生の道を考えます。

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幻の科学技術立国

第4部 世界の潮流/1 最先端行く「フードテック」 新たなアメリカンドリーム ビジネスで社会変える

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植物由来の「人工卵液」を調理するジャスト社のジョシュ・ハイマンさん=米サンフランシスコのジャスト社で2019年2月6日、須田桃子撮影
植物由来の「人工卵液」を調理するジャスト社のジョシュ・ハイマンさん=米サンフランシスコのジャスト社で2019年2月6日、須田桃子撮影

 <科学の森>

 存在感の低下にあえぐ日本を尻目に、覇権争いを繰り広げる米国と中国は科学技術分野でも2強体制を確固なものにしている。連載最終章となる第4部では、世界の最新の動きを報告し、日本の現状を改めて分析する。

 ●植物から人工卵液

 米西海岸シリコンバレーのベンチャー企業「ジャスト」。エプロン姿の男性がボトルに入った黄色い液体をフライパンに流し込んだ。焼き上がった塊を口に運ぶと、ふんわりとした食感とともに卵の味が広がった。黄色い液体の正体は、植物油などから作った人工卵液。本物の卵は一切使っていない。広報担当者は「風味の決め手は(モヤシになる)緑豆から抽出したたんぱく質だ」と明かした。

 このほか、人工肉のチキンナゲットやアイスクリームも試食させてくれた。ナゲットは断面が滑らかでやや不自然なものの、知らずに食べて植物由来だと気付く人は少ないだろう。アイスクリームに至っては本物との違いは皆無だった。

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