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余録

「袋のねずみ」といえば…

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 「袋のねずみ」といえば追い詰められ逃げ場のないさまだが、英語には「袋の中のぶた」という言葉がある。品物を十分あらためもしないで売り買いすることをいうそうだが、これには説明が必要だろう▲子ぶたを袋に入れて売買した昔、猫を入れた袋を売りつけて人をだました連中がいたのだ。そこから秘密をもらすという意味で「袋から猫を出す」という言い回しが用いられるようにもなった(「ブルーワー英語故事成語大辞典」)▲「袋のねずみ」ならぬこの「袋の猫」、売りつけようとした当人がついうっかりばらしてしまうという含みがある。まあペテン師にも間抜けはいようが、こちらはれっきとした国土交通省の副大臣が出した猫で、名は「忖度(そんたく)」という▲福岡県知事選の応援演説で塚田一郎(つかだ・いちろう)副国交相が「私が忖度した」と自慢したのは、下関北九州道路計画についた国の調査費のことだ。首相と副総理の地元を結び「安倍(あべ)・麻生(あそう)道路」と呼ばれる計画だと言えば、発言の趣旨が分かろう▲今時珍しい露骨な利益誘導にあっけにとられていたら、当人は「発言は事実と異なる」とさっさと前言撤回した。なぜ、との問いには「我を忘れて……」だそうな。はて忘れたのは「我」か、政府の一員たる政治家の常識とモラルか▲飛び出た猫がばらしたのは副大臣の土建政治体質や軽率さだけではない。冗談めかした物言いにくるんだ権力の誇示は政権全体の空気を表していよう。そのすみずみにまでうろつく「忖度」という化け猫である。

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