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社説

異例のゴーン被告再逮捕 「人質」批判に抗せるのか

 日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告を巡る事件を語る上でキーワードとなったのが人質司法だ。そうした批判に耐えうる再逮捕だったのかが今回問われる。

     東京地検特捜部は、ゴーン前会長を会社法違反(特別背任)容疑で再逮捕した。ゴーン前会長は先月6日、最初の逮捕から108日目に保釈された。それから1カ月足らずで再び身柄を拘束されるのは異例だ。

     ゴーン前会長は逮捕前日、交流サイト(SNS)ツイッターに公式アカウントを開設し、来週記者会見を開くと明らかにしたばかりだった。

     人質司法とは、自白しない限り被告の身柄拘束が長期化する日本の司法制度が抱える悪弊だ。長く自由を奪うことで、捜査当局の筋立てに沿った供述を引き出す手段として利用されてきた。

     記者会見したゴーン前会長の弁護人は「身柄拘束を利用して圧力をかけるわけだから、人質司法だ」と検察の手法を批判した。

     逮捕容疑は、オマーンの販売代理店経由で自身が実質的に保有する会社に約5億6300万円を送金し、日産に損害を与えたというものだ。

     資金の一部は、ゴーン前会長の家族が使用するクルーザーの購入に充てられた疑いが持たれている。形式犯との指摘が出ていた有価証券報告書の虚偽記載などとは異なり、私的流用の色合いが強く、厳正に捜査すべき事案である。

     仏ルノーがゴーン前会長側の不透明支出について仏検察当局に通報するなど日仏で刑事責任追及が進む。

     逮捕には検察内にも慎重論があった。長期勾留が海外メディアから批判を浴びたことを踏まえ、任意捜査で追起訴すべきだというものだ。

     一方、捜査が継続しているにもかかわらずゴーン前会長の保釈を認めた裁判所の判断に、検察内には不満がくすぶっていたとされる。

     逮捕や勾留は、あくまで容疑者や被告の逃亡や証拠隠滅を防ぐのが目的だ。その要件は厳格に判断すべきである。

     住居への監視カメラの設置など厳しい保釈条件下で生活していたゴーン前会長になぜ強制捜査が必要だったのか。これからの捜査や公判を通じ、それだけの内実があることを検察は示す責任がある。

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