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忖度発言で副大臣辞任 首相は当初なぜかばった

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 塚田一郎副国土交通相が山口、福岡両県を結ぶ道路整備に関し安倍晋三首相と麻生太郎副総理兼財務相の意向を「忖度(そんたく)した」などと発言した責任を取って、きのう辞任した。

 福岡県知事選の応援集会で語った、地元への露骨な利益誘導と受け取られる発言だ。辞任は当然である。むしろ問題なのは、安倍首相が当初「職責を果たしてほしい」と塚田氏をかばったことではないか。

 一転して辞任に至ったのは統一地方選の最中であり、世論の批判に加えて自民党内からも「このままでは選挙が戦えない」との声が強まったからだろう。首相が「責任を取る必要はない」と考えていたとすればこれも緩みやおごりの表れである。

 塚田氏は辞任の理由を「事実と異なる発言で迷惑をかけた」などと語った。首相らも「事実と違う」という点を強調している。

 では、事実と異なる点とは何を指すのか。首相らの意向を忖度して建設計画に国直轄の調査費をつけたという話自体が間違いだったということで首相らは収拾したいようだ。

 だが塚田氏は道路建設に関して参院自民党幹部らから要望を受けた際「俺が何で来たか分かっているか」と言われた点をはじめ、詳細なやり取りを演説で明かしている。その全てが作り話だったのだろうか。

 総事業費が2000億円以上とされる巨大公共事業に関わる問題だ。今後も国会で経緯の解明が必要だ。

 安倍政権では桜田義孝五輪担当相をはじめ、閣僚らの暴言や失言が相次いでいる。にもかかわらず首相は大半の閣僚を続投させてきた。

 最たる例が麻生氏だ。森友問題で財務省が前代未聞の決裁文書改ざんに手を染めた際も、省のトップである麻生氏は不問に付した。

 首相は必ず「説明責任を果たしてもらいたい」とは口にするが、その後関係者が十分に説明を尽くした例はほとんど見られない。

 国会は数の力で押さえているから予算や法案審議には影響しないと高をくくっているのかもしれない。だがけじめをつけてこなかった結果、政治のモラルは低下する一方だ。

 これほど批判されている忖度という言葉を塚田氏がひけらかしたのも、著しく節度が失われているからだろう。反省はそこからだ。

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